The Skateboard Kids

名古屋でじわじわと音楽シーンを賑わす存在となっている注目の新人バンド、The Skateboard Kids。 2015年に、現役大学生の日置逸人（Vo, G, Syn）が中心となって結成した4人組バンドだ。 とにかく彼らの音楽は心地良い。シューゲイザー的な浮遊感やドリーミーな幸福感をまといながらも、決して妥協しない音作りへの情熱は、デビュー盤となる『NEWTOPIA』に詰め込まれた多彩なサウンドスケープが物語っている。優しく温かく、心が浄化されるような流麗なメロディから、ダークで力強い疾走感あふれるメロディ、期待と不安が交錯する未来に、かすかに光が差し込むような瑞々しいメロディまで、そのどれもがすっと心の奥底に滑り込み、心地良い感覚へと誘ってくれる。ここまで自然と身体に馴染む音を鳴らせるは、彼ら自身が、肩肘張らず、ただひたすらに仲間と一緒に音楽と戯れていたいという無邪気な音楽愛に満ち溢れているからだ。 そんなリラックスしたスタイルの彼らだが、本作ではレコーディングエンジニアにtoeの美濃隆章を迎え、更なる躍進を目指す。 サウンドスケープへの拘りは人一倍なのは勿論、アルバムラストを飾る「Coastal Hill」では〈鳴りやむことのない鼓動 / 途切れることのない創造 / この目に映ったものが全て〉と、早くも目の前に広がる未来に対する希望と自信が描かれている。一切妥協のない美しい音像に耳を傾けつつ、彼らがこれから紡いでいく言葉や情景にも期待したい。これからの音楽トレンドに着実に名を馳せる存在となるであろうニューカマー。是非、彼らの描く魅惑的な音楽世界に触れてほしい。 音楽ライター 渡辺尚美