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むー の《懐かシネマ MOVIE CHRONICLE 》vol'8 ロバート・ラドラム『暗殺者』映画化への軌跡 『ボーン・アイデンティティー』&《ボーン・シリーズ》Soundtrack《本命盤》

Playlist byむー

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  • 2022.04.23
  • 39:58
  • 8曲
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説明文

瀕死の重傷を負い 洋上に浮いていた青年… 九死に一生を得た青年は 一切の記憶を失い、自分が何者なのか、名前も経歴も思い出す事が出来ない。 彼は 唯一、手元に残されていた スイスの銀行名と 金庫の口座番号を頼りに 現地に向かう そこの貸金庫の中の物品で 知ることになる…自分…… 「私の名前は《ジェイソン・ボーン》」 そして貸金庫の中の 多数のパスポートと拳銃は なんの為に… 彼の生存が分かると、次々と刺客が襲いかかる! ジェイソン・ボーンは信じ難い《格闘センス》で 敵を撃退して行く。 何故、俺はこんなに強い… 奴らは 何なんだ…… 1927年 生まれの ロバート・ラドラムは、 俳優、声優、映画館経営を経て、 1971年 に『スカーラッチ家の遺産』で小説デビューをします。 その後 『オスターマンの週末』(72年) 『ホルクロフトの盟約』(78年) 等のベストセラーを出し 1980年に発表したのが『暗殺者』……『ボーン・アイデンティティー』です。 当時から映画化が噂され バート・レイノルズ主演で撮影に入る…と新潮文庫の あとがきに書かれています。 映画化の話は 1988年 5月 に ABCテレビ 2夜連続 185分のテレビドラマになり ( 主演は『将軍 SHOGUN 』(80年) のリチャード・チェンバレン、元祖『チャーリーズ・エンジェル』のジャクリーン・スミス。監督はロジャー・ヤング ) 上下巻に渡る長編の為、このTVミニシリーズが 決定打と思われ、映画化の話は一旦 消滅します。 再度映画化の話は『スウィンガーズ』(96年) や 『go』(99年) を撮った ダグ・リーマン監督が、映画化権を取得した事で動き出します。 ダグ・リーマンは高校の時に読み 「こんな面白い小説を、何故 映画会社はほったらかしなんだ 」 と感じ 映画化権取得に乗り出しますが ラドラムのエージェントが映画化に難色を示した事と、 テレビドラマ化の際に映像化の権利の複雑さが問題になり クリアするのに 2年以上 かかりました。 ダグ・リーマンは、ウィリアム・ブレイク・ハーロンと脚本作りを始め、 途中 3部作通して脚本を担当する トニー・ギルロイも参加し、1年かけて創り上げました。 ダグ・リーマンは徹底的にリアリティにこだわり、7ヶ国に及ぶロケ撮影を敢行しながら 観光地を避け、地元民が住んでいる風景に カーチェイスや銃撃戦を持ち込み 見せ場にしました。 音楽は『フェイス/オフ』(97年) 『シュレック』(01年)のジョン・パウエルが 担当。 ( シリーズを通して担当します。……ちなみに、最初は『ミラーズ・クロッシング』(90年) 等 コーエン兄弟の映画音楽を主に担当している カーター・バーウェルでしたが、没!憐れ リジェクトに ⤵ ⤵ ) 主人公のジェイソン・ボーンに 「あまり、アクション映画に馴染みのない俳優を……」 との事で マット・デイモンが。 (ちなみに 当初オファーされたのは ブラッド・ピット。トニー・スコット監督の『スパイ・ゲーム』が決まっていて断念 ) ダグ・リーマンのリアリティ路線は、製作元のユニバーサルは理解を示さず 派手なアクションの追加、再編集を要求。監督変更まで持ち出した。 このユニバーサルとの 編集のファイナル・カット権を巡る争いにウンザリしたダグ・リーマンは シリーズから撤退、以後シリーズには製作総指揮という名目だけの存在になります。 映画は製作費 6000万$で、世界興収 2億1403万$を稼ぎ 大ヒット! ダグ・リーマンの思いとは別に 続編のプロジェクトが動き出します。 皮肉な事に、前作でウケた《リアリティ路線》を継承する監督を探し ( じゃあ リーマンでいいじゃんねぇ😟) 「血の日曜日事件」の映画化で 52回ベルリン国際映画祭金熊賞を『千と千尋の神隠し』と共に受賞した 『ブラディ・サンデー』(02年) の ポール・グリーングラスに決定。 トニー・ギルロイとの脚本作りは、本来の原作『殺戮のオデッセイ』から大きく離れ 前作の《ヒロイン》マリー ( フランカ・ポテンテ )を冒頭から死に追いやり 自分と関わる人の死の重責と、復讐の旅路が 物語の主軸をなしていきます。 監督は 「重いテーマだが、それが彼の宿命であり、もう一度 ボーンの物語を描くなら、それを避ける事は出来ない」 と、暗殺者としての贖罪、葛藤が再び ボーンを孤独にする物語を選びます。 アクションシーンのリアリティは 更に推し進められ、前作のステディカム撮影から、 「固定撮影ではリアルな映像は生まれない。カメラそのものを《眼》にして、観客と同時体験する事で 臨場感を出す 」 と、ほぼ全編 手持ちカメラで撮影され 通常 2000 カットのとこを、3500 カット と目まぐるしい編集がされ、スピード感溢れる 映像を生み出しました。 ( 1ショットの平均秒数は『ボーン・アイデンティティー』の4秒に対し『ボーン・スプレマシー』は2.4秒 ) 『ボーン・スプレマシー』(04年) は、製作費 7500万$、世界興収 2億8850万$ の大ヒットになりました。 『ボーン・スプレマシー』の最後で、「デビッド・ウェッブ」という ジェイソン・ボーンの本名が告げられます。 遂に、ボーンは「自分は何者なのか?」 の問いに 答えを見つけることになります。 トリロジーの最後を飾るのは 『ボーン・アルティメイタム』(07年) です。 原作は最終作『最後の暗殺者』からだが、最早『ボーン・アルティメイタム (最後通牒 )』の名前だけ 「トレッドストーン作戦」の後継計画「ブラック・ブライヤー作戦」に巻き込まれる ジェイソン・ボーンが描かれます。 監督は引き続き ポール・グリーングラス。 前作を踏襲する 4200 のカット数。 ( 1ショットの平均秒数は わずか2秒 ) シリーズの最後を飾りました。 製作費 1億1000万$、世界興収 4億4282万$の大ヒット! もう ロバート・ラドラムの原作は終了し、シリーズは完結しましたが、こんな大ヒットシリーズを手放す ハリウッド・ハイエナ達ではありません。 2004年に書かれた エリック・ヴァン・ラストベーダーの後継小説『ボーン・レガシー』を題名だけ頂き シリーズの脚本家 トニー・ギルロイが監督 ( ギルロイは、かねてから脚本を現場で変えていく グリーングラス監督には批判的、また それを支持するディモン とは対立していた ) 主役は ポール・グリーングラスが降りた事で マット・デイモンも降板 その為、「トレッドストーン作戦」の類似作戦によって産み出された アーロン・クロス ( ジェレミー・レナー )の戦いを描く アナザーストーリーになります。 しかし、完結している物語の次作は、観客の望む作品には はなからなる訳も無く 製作費 1億2500万$、世界興収 2億7614万$ とシリーズ初コケ になってしまいます ⤵ ⤵ やっぱ マット・デイモンが出なきゃダメだべ… と再び ポール・グリーングラス監督を担ぎ出し、マット・デイモンの主演も取り付け 『ジェイソン・ボーン』(16年) を送り出します。 製作費 1億2000万$、世界興収 4億1548万$ と再び大ヒットになりましたが、 話は蛇足でしかなく、完結しているのに ドロを塗る結果になりました。 何事にも シメはあるのです。 原作の最後にあるように、 「ひとつの心を持って 二人の人間として生きる。それがいったいどんなものか 誰にもわからない。 だが、それももう終わった。本当に終わったんだ。」 本当に 終わったのです……かな?😅 選曲 ②③⑧『ボーン・アイデンティティー』 ④⑤『ボーン・スプレマシー』 ①⑥『ボーン・アルティメイタム』 ⑦『ボーン・レガシー』
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