むー の《懐かシネマ MOVIE CHRONICLE 》vol' ２ 「 I'll be back ！」シュワちゃん出世作『ターミネーター』シリーズ Soundtrack《本命盤》

70年代の終わり、日本での映画のジャンル分けに革命が起きました。 『ハロウィン』『ゾンビ』『13日の金曜日』……etc それまで《怪奇映画》と言われたジャンルは、 《ホラー･ムービー》《スプラッター･ムービー》《スラッシャー･ムービー》など いくつかの名称を持ち、新たな時代に入りつつありました。 ＳＦ映画のジャンルも 怪奇映画とミックスし、《ＳＦＸムービー》……スペシャル･エフェクト という 映画を彩る特殊技術がクローズアップされ ジョン･ダイクストラ、トム･サヴィーニ、ロブ・ボッティン など スター ＳＦＸアーティスト＆ 特殊メイクアーティストも誕生しました。 そして、そんなムーブメントの頂点に 1985年の東京ファンタスティック映画祭 の開催がありました。 そんな《ＳＦＸムービー》が、家庭用ビデオデッキの普及や、街のレンタルビデオ屋さんの誕生の後押しになりました。……(ちっちゃな声で)...後 AVも 😌 そんな中、一部 好事家 に話題になった映画がありました。 『ターミネーター』(84年) です。 私も「スターログ」「宇宙船」を読み、 なんか 凄い映画があるらしい...と、存在は知っていました。 当時のレンタルビデオ屋さんは、日本未発売品とか お構い無しに 自由に取り扱っていて レンタルビデオ屋さん だけじゃなく 本屋や電気屋の片隅にも、VHS やβ のビデオ、自ら店主がダビングした 海賊版も平気で置いていました。 まだ 劇場未公開の映画も、何故か字幕が付き コピーのジャケットを身につけ店頭に並んでいる...そんな時代 この『ターミネーター』もそんな 怪しいビデオ屋さんから借りて 劇場公開前に 観賞しました。 『コナン･ザ･グレート』(82年) の《大根のB級》筋肉スターが、悪役の《ターミネーター》をやった事に驚き、 ブラッド・フィーデルの音楽に 痺れました。 監督のジェームズ・キャメロン、主演のアーノルド・シュワルツェネッガー 、ＳＦＸのスタン・ウィンストン その他 当時 無名だったスタッフ･キャスト 全員の出世作になりました。 ジェームズ・キャメロンは当時 ロジャー・コーマンのニューワールド･ピクチャーズで『宇宙の７人』や『ギャラクシー･オブ･テラー / 恐怖の惑星』の特撮を担当していて その実績が認められて、ジョー・ダンテ監督のヒット作『ピラニア』(78年) の続編 『殺人魚 フライングキラー』(81年) の監督に抜擢されました。 内実は、前任の監督 チャールズ･イグリー のピンチヒッターです。 イタリアに向い、製作総指揮 オヴィディオ･ Ｇ ･アソニティス の元 撮影の建て直しを計ったけど、 わずか５日でクビ！ ( Wikipedia による ) その後は、撮影済みのフィルムを編集し 女性の裸などを加えて完成させたのは アソニティス。 ジェームズ・キャメロンは名前を外すように 要求しますが、アメリカ人ぽい名前が 興行的に必要な為 そのまんまにされました。 「もう、こんな屈辱を味わいたくない！」 と、自ら脚本を書く必然を感じたキャメロンは、学生時代から温めていた ＳＦ映画の執筆に取り掛かります。 コンピュータに支配された未来の世界。 奴隷になった人類は、遂にジョン・コナーをリーダーに反乱を起こします。 なかなかジョン・コナーを倒す事の出来ない機械軍は、過去にタイムスリップして ジョン・コナーが産まれる前の 母親 サラ・コナーを殺そうと、人間そっくりの殺人マシーン T - ８００ を送り込みます。 それを知ったジョン・コナーは、ボディガードにレジスタンス軍の兵士 カイル・リース( マイケル・ビーン ) を過去に送り込みます… この脚本は、話題になり 多くの映画会社が買いに来ましたが、キャメロンは自分が監督出来ない会社には 売るつもりはありませんでした。 キャメロンの要求に答えたのは、ヘムディル･ピクチャーズとオライオン映画で、640万＄の予算で製作スタートになりました。 悪役の《ターミネーター》には、『殺人魚 フライングキラー』で知り合った ランス・ヘンリクセンを想定し、イメージボードを描いていましたが、 オライオンのマイク･メダヴォイから 「もっと知名度のある俳優がいい」 と言われ、ターミネーター役に O・J・シンプソン カイル・リース役に アーノルド・シュワルツェネッガー を推薦されました。 人間そっくりのターミネーターには 普通の感じが良いと思っていたキャメロンは 気乗りがしなかったが シュワルツェネッガーと会って 考えを一変 「ターミネーターはシュワちゃんだ！」 仕事が欲しかった シュワルツェネッガーも了承しました。 サラ・コナー役には、オーディションで地味で平凡な容姿のリンダ・ハミルトン ⇒ 後のキャメロン夫人……離婚しますが 😅 映画『ターミネーター』は、低予算ながら妥協を許さない キャメロンの情熱がほとばしり 批評家からも、観客からも絶賛され アメリカだけでも3837万＄ 世界興収 7837万＄ を稼ぎました。 ※ 『世界の中心で愛を叫んだけもの』で知られる ＳＦ作家のハーラン・エリスンから自分の脚本作『38世紀から来た兵士』と『ガラスの手を持つ男』の盗作 と訴えられて 敗訴 約40万＄ 支払う事になる オマケが付くが…… その後のスタッフ･キャスト は順調に出世して行きます。 シュワルツェネッガーは、不動のトップスターに キャメロンも『エイリアン２』(86年)『アビス』(89年) と 順調にこなして行くが 『ターミネーター』は、複数の会社が権利を持つ為、ヒット映画に関わらず 続編の話は出てきませんでした。 動いたのは 1990年『ランボー / 怒りの脱出』(85年) や『トータル・リコール』(90年) のカロルコ･ピクチャーズ が権利を買い集め 製作を始めた事でした。 ジェームズ・キャメロンは興行的にはコケたが『アビス』で、特殊効果の ＩＬＭ のデニス・ミューレン と 自ら創設したＣＧスタジオ「デジタル･ドメイン」で開発を進め 変形自在の液体金属で造られた T-1000 の可能な事を確認、 という事で 『ターミネーター２』(91年) 製作スタートになりました。 製作費は当時としては破格の１億200万＄😵 今度の悪役ターミネーター Ｔ-1000 は、ロバート･パトリックが演じ、その細身で靱やかな肉体は 元々の 人間に溶け込む というオリジナル･コンセプトに近いキャラクターになりました。 満を持した《スーパー･ムービー》は全世界で５億1984万＄の興行成績を上げました。 映画は、再度の続編が考えられない位の 見事な終わり方で、 全ての証拠を抱え、溶鉱炉に沈んでいくＴ-８００のラストシーンは、神々しいものでした。 全て 解決した。……と、思われましたが、線路はまだ続いていました。 『ターミネーター３』(03年)…… 大ヒット映画の続編をほって置けるハリウッドではありません。 キャメロンは、早々 降りました。 シュワちゃんも乗り気ではありませんでしたが、映画のコケが続いていた為、出演料 3000万＄でオファーを受けます。 今度は、青年のジョン・コナーを襲いに、女性型ターミネーター Ｔ-Ｘ ( クリスタナ・ローケン ) がやって来ます。 それを防ぎに Ｔ-８００の改良型 Ｔ-８５０ ( アーノルド・シュワルツェネッガー )がやって来ます… ……つまらなくはないけど、蛇足だよね。 監督 ジョナサン･モストウ。 製作費 ２億＄、世界興収 ４億3337万＄。 続いて 2009年に『ターミネーター４』が。 今度は、大人になったジョン・コナー ( クリスチャン・ベール ) を襲う機械軍。 シュワちゃんも 若い頃の顔をデジタルＣＧ合成ではめて出演してます。 監督は『チャーリーズ・エンジェル』のマックG。 製作費２億＄、世界興収３億7204万＄……完全にコケたな… でも、柳の下の泥鰌はまだいる。 2015年『ターミネーター ; 新起動 / ジェニシス 』 もはや 何をか言わんや …… シュワちゃん、皆勤賞です。 監督は『マイティ・ソー / ダーク･ワールド』(13年) の アラン・テイラー。 １作目のパラレル・ワールドのストーリーです。 サラ・コナーを守りに来た カイル・リース ( ジェイ・コートニー )の前に、屈強な女戦士になっている サラ・コナー ( エミリア・クラーク ) と、 《おじさん》と呼ばれるＴ-８００ (アーノルド・シュワルツェネッガー)が…… 製作費１億5500万＄、世界興収 ４億4060万＄。 これには中国での大ヒットが影響してます。 初日の興行成績が2740万＄で、歴代４位！ トータルで１億1200万＄の大ヒットになってます。 アメリカのドメスティック･トータル・グロスが8976万＄なのに…… その為、次作は中国企業主導で 製作されるそうです。 1991年、あんなに見事に終わった『ターミネーター』シリーズは、金勘定に長けた大人達によって延命治療が続けられてます。 今もなお、人間とコンピュータの戦いは、まだまだ続いているのです…… 選曲 ①『ターミネーター』 ②『ターミネーター２』 ③④⑥『ターミネーター ; 新起動 / ジェニシス 』 ⑤⑦『ターミネーター３』 ⑧『ターミネーター４』