AWA
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説明文

黄金町の風俗店から出たワグナーは一息入れたくなって、2階の店舗から外階段をおりて下にあったパイプのベンチに座り、柔かなタバコの煙をすうっと身体の奥へ送った。ワグナーの初老とも言って良い身体に煙が隅々まで染み込み、心地良い気分で満たされていった。黄金町は風俗店が多い町だが、ここから遠くないアパートに住んでいるので、ここには馴染みの店があった。馴染みの店というより、好みの娘がいる店といって良い。店では寡黙ではにかみやの外人お爺として通っており、プレイにおいてはお嬢たちを困らせるような客であった。一戦終えて(そう思っている)ベンチに座って、タバコの煙の行く先を眺めていると、いつの間にか想像の中で空に立っていた。そこは夕陽が雲母を金色に照らし、風が雲を空高く押し上げていた。その時、ワグナーはパンツの前に小さな染みを作ってしまったことに気が付いた。それはある梅雨明けの黄昏れ時であった。
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