遠泳していた午下 静まりに噎せて息が漏れる 仄めく香り 視界を覚ました 肌に触れる花弁 点滴の針に似た冷たさ 痛みは無くて 感性は麻痺していた 此処は何処だろう 分からなくなった 手のひらが悴んでいて 過去の記憶が掴めない ネオンテトラの群聚だ 光が眩しくて目を擦った とても秀麗で醜かった それは朱夏の幻覚症状… 吸殻が浮かんでいた 六月の粒に重ねて見た 蒙昧さ故の徒心の様な 努々許されることのない素行を 隠し通せぬままはだけてしまう 乱れる天竺牡丹 彼方に捧げた声色を奪う言葉 朝ぼらけに隠した 罪咎で溺れる
