透けた光に刺されて、 酸欠になってしまった。 天使の声は届かない。 夢をみていた、 覚めない夢を、 只、愛していた。 防波堤を超えて、 無重力に浮遊する。 飛沫を乱して、 泡をつくる。 触れられなくて、 不意に虚しくなる。 触れられなくて、 嗚呼。 午後の匂い、 静かな匂い、 (夜の淵に、 伝う涙に、) 潮騒の、仄かな光沢。 指の隙間、零れ落ちた、 (奪われた、一つの瞬間。 過去の言葉、思い出した、) 記憶が零れ滴る。 リンスのように流れて、 色は抜けて、拙いだけ。 雨傘が肌に当たる。 忽せなままでいて。 瓶の破片が転がる、 白昼の瞬きで目が眩む。 シェイプ素材のような、 月が、今、頬、撫でる。
