進化の築いた摩天楼が空の流れを 止めてから 私たちの呼吸源は 他人の肺にゆだねられた 誰かの寄りかかる先には誰かが 私の歩む先には誰かだった残骸が 月光降り注ぎ傘を差す君 穴だらけの顔は私じゃない そう呟いた 宵の水面に 映るまがいものの光はそれすらが 紛い物 されど水面は地を埋め尽くしている これが僕が望んだ世界 理想の楽園 独白を破壊する衝動 対話に想像される苦悩 痛みを忘れて違いと手を 鏡を割れど書割のような網では何も 捕えられず あなたはただ自己と向き合う術を 失うだけ 無数に増殖した私だけがあなたを 理解する
