ちいさな あしあとから はじまった じぶんという ひとつの ものがたり ぼくより ずっと まえに いきていた さくらのきは ずっと だれかの せいちょうを みまもって そこに たっていたの? てのひらに おちていく さくらの なみだは つたえきれずにいた ことばの しおりの はな つぼみだった ぼくは きょうから ふるさとを はなれて あらたな まちで さいしゅっぱつするんだ おおきな てのひらの ぬくもり ふかくて やさしい あいの においが はなれないけど あまえられないよ おとなに なるという ことの いみ すこしずつ わかってきた ところさ ほおを つたった さくらの なみだが きえたって この しゅんかんを けっして わすれぬように こころの なかに はるどきの かぜを きざみこむんだ まっていて ぼくは いまより おおきく なる ひらりと じめんに おちた なみだは さくらいろへと かわって どの まちにも ながれてゆく ありがとうと さよならを たくして ふっていく スプリングシャワー きみが くれた たくさんの ことばたちを だきしめながら おもいでの なかを あるく また であう そのひまで…
