クーラーの音だけ響く部屋 七月の西日が埃を照らした 引き出しの奥、指に触れた紙 くしゃくしゃのまま、 忘れられていた 「なんだっけ」って独り言ちて シワを伸ばせば薄れたインク 去年の夏の日付と 僕らしか知らない魔法の跡 ソーダアイス2点 線香花火2点 756円の夜 君の笑い声も 火花の匂いも そこには書いてないのに コンビニのレシートだけが 僕らの夏のたった一つの証明だった 街灯もない公園まで歩いた 「夏も終わりだね」って君は言った 頼りない光が横顔を染めて 返事もできないまま 黙り込んだ 記憶なんて曖昧で 勝手に綺麗になるけど 数字の羅列だけが 何も変わらずにいた ソーダアイス2点 線香花火2点 23時15分の夜 言えなかった言葉も ぬるい風のことも そこには書いてないのに コンビニのレシートだけが 僕らの夏のたった一つの証明だった このインクが滲んで消えたなら あの夜の 全部もなかったことになるのかい 写真より確かなのは この8%の数字なのかい ソーダアイス2点 線香花火2点 756円の夜 君の笑い声も 火花の匂いも そこには書いてないのに コンビニのレシートだけが 僕らの夏のたった一つの証明だった そっと手帳に挟んだ インクが消えないように
