グラッセ

歌詞

ねえ、昔話でもしようか ちっちゃな頃 嫌いだった食べ物とかさ 私は 甘ったるく煮たニンジン 俺は らっきょう かな 今は 食べれるけどね くすぐったい 声の距離 くるくる 回る記憶のドア 笑って ひとつ またひとつ ちゃんと キミがいる 好きだった本は「星の王子さま」 なんかちょっと 哲学っぽいやつ キミは「本なんか読まねーよ」 ワンピースが教科書だって笑った 好きだった曲? ガールフレンド アヴリルみたくなりたくて ネクタイしてさ ミニスカートとランドセル ロックスター気取りで歩いてた その頃のお前 見たかったなって 笑うキミが好きだった キミの「レイニーブルー」 渋すぎだよって 笑った 「歌に 年齢なんて関係ねーし」 ってムキになる声、 いまも覚えてる 違うのに 似ていた 交わらないまま寄り添って でもさ ちょっとした段差で 転んじゃうのが「ふたり」だった 私はミニマリスト キミは 収集家 空間も 価値観も バラバラで だけど それが「私たち」だった 違いが好きだったの でも それがズレになった 音を立てて壊れた日 あの日のドアが 今もまだ開かない アヴリルの "Complicated" 今でも聴くと泣きそうになる 「ねえ、 昔より素直じゃないよね?」 君のその一言が刺さってさ 私は減らして 君は増やして 無理して "ちょうど" を保とうとした 大人になるってさ 諦め上手になることじゃないよね ミニマリストの私と 収集家のキミと なんで出会って なんで惹かれて なんで今 すれ違ってく? 違いが好きだった それがズレになった それでも「懐かしいね」って 言える未来が どこかにあればいいな アヴリルの "Complicated" イントロだけで泣きそうで 君が「素直じゃねーな」ってさ 笑ったような ちょっと泣きそうな顔してた 私は減らして 君は足して バランス取ってたつもりだった だけど 心の棚の奥に 置き忘れたままの 気持ちがあったんだ 私は荷物を減らして 君はギュウギュウ詰め込んで 逆方向のドアノブを それぞれが回してただけだった 違うままで 愛せたら きっと今も一緒だった 甘ったるいニンジンくらい ちょっとずつ 好きになれたかもな