ヒラリヒラリと舞い遊ぶように 姿見せたアゲハ蝶 夏の夜の真ん中 月の下 喜びとしてのイエロー 憂いを帯びたブルーに 世の果てに似ている漆黒の羽 旅人に尋ねてみた どこまで行くのかと いつになれば終えるのかと 旅人は答えた 終わりなどはないさ 終わらせることはできるけど そう…じゃあ お気をつけてと 見送ったのはずっと前で ここに未だ還らない 彼が僕自身だと気付いたのは 今更になってだった あなたに逢えた それだけでよかった 世界に光が満ちた 夢で逢えるだけでよかったのに 愛されたいと願ってしまった 世界が表情を変えた 世の果てでは空と海が交じる 詩人がたったひとひらの 言の葉に込めた 意味をついに知ることはない そう それは友に できるならあなたに 届けばいいと思う もしこれが戯曲なら なんてひどいストーリーだろう 進むことも戻ることも できずにただひとり 舞台に立っているだけなのだから あなたが望むのなら この身など いつでも差し出していい 降り注ぐ火の粉の盾になろう ただそこに一握り残った僕の想いを すくい上げて心の隅において あなたに 逢えたそれだけでよかった 世界に光が満ちた 夢で逢えるだけでよかったのに 愛されたいと願ってしまった 世界が表情を変えた 世の果てでは空と海が交じる 荒野に咲いたアゲハ蝶 揺らぐその景色の向こう 近づくことはできないオアシス 冷たい水をください できたら愛してください 僕の肩で羽を休めておくれ