Track by尾方蝶嘉
源平両軍舟出して 壇ノ浦にぞ落ち合いける ここは名高き壇ノ浦 渦巻く流れの速き潮 さすが源氏の強者も 一度は軍を退げたれど 潮の流れの変わるを見て ここぞと挙ぐる鬨の声 平家の舟へ乗り入れぬ 敵も味方も入り乱れ さしもの瀬戸も船に覆われ 紅葉浮かぶる川波の 網代に寄する如くなり 二位殿は帝を抱き奉り 君は万乗の主と生まれさせ給えども 御運すでに尽きさせ給いぬ 浪の下にも都の候ぞと 幼き帝もろともに 千尋の海へぞ入り給う 哀れ無情の春の風