麦わら帽子の影 君は笑っていた 蝉の声にかき消された 「好きだよ」の言葉 郵便受けに残る 君からの手紙 八月の風だけが 優しくページをめくる 線路沿いの坂道 自転車を押しながら 君が振り返った あの瞬間が焼きつく 八月の手紙 今も胸に残る 「また会えるよね」って 滲んだインクの文字 夏の終わりが来るたび 思い出が揺れる 君の声だけが 風に溶けていく 花火の音が遠く 浴衣の君がいた 手を伸ばせば届きそうで 届かない距離 駅前のベンチには 誰もいない午後 君が残した言葉が 空に浮かんで消えた ポストに入れた手紙 返事は来なかった それでも僕は今も 君に書き続けてる 八月の手紙 誰にも見せない想い 「元気ですか?」の一行 涙で滲む 季節が巡るたびに 色褪せていくけど 君の笑顔だけは 消えずに残ってる 八月の手紙 今も風に揺れる 届かないと知りながら 書き続けてる 「さよなら」じゃなくて 「ありがとう」だけを 君に そっと 届けたい 八月の手紙 夏の 記憶の 中に
