鮮やかに咲く 彫刻刀が指先を滑る 教室のざわめきが遠くに消える 鮮やかな赤がゆっくり流れて 本当の芸術を見た気がした 怖かったのに目を離せない まるで命のように指をつたい 普通に過ぎる時間のまにまに 子供の僕は血と向き合った 鮮やかに咲く 痛みの中に美しさが眠る 彫刻刀の傷 あの日の赤色 まだ消えない 怖かったのに目を離せない まるで命のように指をつたい 普通に過ぎる時間のまにまに 子供の僕は血と向き合った 鮮やかに咲いた 不器用な手に答えはない 教室の隅の出来事 あの日の僕は まだここにいる 教師は特に 心配するわけではなく 無表情に絆創膏を手渡した 鮮やかに咲く 痛みの中に美しさが眠る 彫刻刀の傷 あの日の赤色 まだ消えない あの日の赤色 まだ消えない
