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マリスの晩餐

Track byDarkestoRy

594
9
  • 2020.12.02
  • 4:39
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歌詞

森の奥には、夜の悪魔が住むんだ。 奴らに【言葉】などは通じない。 太陽[ひ]が沈む前には、 帰っておいで。 少女[ミラ]は途方に暮れた。 帰り道を見失ってしまったのだ。 「早く帰らなきゃ……」 ミラは森の奥へと歩きだした――。 夜の悪魔なんて、いるはずないわ。 誰しも【言葉】で理解[わか]りあえ るもの。 やがて木の陰で、ミラは見つけた。 古びた洋館[やかた]に、 蠢く何かを。 此処には、ねぇ、誰かがいるの? 蝋燭の燈[ひ]が、 不気味に照らした。 「……貴方はだあれ?」 悍ましい紅い眼。 血に飢えた皓[しろ]い牙。 あぁ、残酷で数奇なこの出遇い。 救けてと嘆悔[なげ]いて、 お願いと喚鳴[わめ]いても、 そうか……悪魔には【言葉】は通じ ない。 その悪魔、 マリスは何かに気付いて立ち止まっ た。 ミラは逃げることなく、 彼に優しく話しかけた。 罪は犯した人だけのもの。 血統[うまれ]は関係ないわ。 あなたは、あなた。 それから、ふたりは探し始めた。 悪魔と少女が、 理解[わか]りあう道を。 ある夜、ふと、 誰かの靴音[あしおと]。 招かれざる殺意を握って。 「……彼女を還せ!」 怯えた黒い耳。 震える手からは凶弾。 あぁ、 姿形[すがた]ならミラと似ているの に……。 対話[はなし]をと説いた。 聞いてくれと叫んだ。 なぜ……お前には【言葉】が通じな い? 「悪魔を殺せ!」 姿形[すがた]の違う者たちが、 理解[わか]りあうのは難しい。 もはや彼らに【言葉】は通じない。 一体どちらが、 本物の悪魔なのだろう。 朝焼けに傷む身体を押して、 マリスは村の方角へ走った。 この姿形[すがた]を見られたら、 きっと殺されるだろう。 それでもマリスは、この少女を―― 【言葉】を、信じてみたかった。 悪魔[おれ]が恐いだろう。 信じてはくれないだろう。 ただ、ひとつでいい。 願いを聞いてくれないか! 虚ろな紅い眼。 灰と化す皓[しろ]い牙。 あぁ、夜が明ける。 笑顔はもう、見れないな……。 侵略[おか]した歴史は、 決して戻らない。 でもミラ、言うとおりだ。 姿形[すがた]は違えど、 悪魔の子だとしても、 【言葉】で理解[わか]りあった。 ミラは正しかったんだ。 マリスは満足[みた]されたように笑 って、 静かに……朝焼けに散った。

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