アフリカ系アメリカ人、白人、ネイティヴ・アメリカン、スペイン人、フィリピン系ネイティヴ・アメリカンという多様な血を引く ケラーニことKehlani Ashely Parrishは1995年、カリフォルニア州オークランドに生まれる。「オークランドから外に出られる人は運がいい」と彼女は語るが、彼女の場合は才能が運に取って代わった。彼女が生まれてから数ヶ月後に父親が他界し、薬物依存に陥った母親は彼女を叔母に預けた。最初はダンスに救われた。特にバレエ。しかし、膝の故障によってバレリーナとしての輝ける未来は閉ざされてしまった。
中2の時、元Tony! Toni! Tone! のドゥエイン・ウィギンスがプロデュースしたポップグループ=Poplyfeのメンバーとなった彼女は、見事センターのポジションに抜擢される。Poplyfeは有名オーディション番組『America’s Got Talent』の決勝に勝ち進み、そこで伝説的アーティスト、スティーヴィー・ワンダーとの共演も果たす。優勝こそ逃したものの、同番組で司会を務めていた、マライア・キャリーの元夫にしてラッパー/俳優/プロデューサーなどマルチな活躍で知られるニック・キャノンという心強い味方と知り合う事となった。その後、契約問題でトラブルが起きたためPoplyfeを脱退した彼女は、しばらく音楽活動から遠ざかることになってしまう。住む家もなく、知り合いの家を転々とし、半ばホームレス同然の生活を送っていたのだが、彼女はふたたびマイクを手に取ることになる。ちょうどその頃、ニックから「何か手助けできることはないか?」という連絡をもらったのだ。そして、彼女がリクエストしたことはただ一つ、スタジオに入ることだった。
こうして彼女が2014年に発表したミックステープ『Cloud 19』によって世界は彼女を知ることになる。Complex誌は「いかにしてR&Bが2014年の救世主となったか」という見出しで彼女を紹介し、Pitchforkは彼女のミックステープを「2014年最も見過ごされた作品」の一つと称した。Vice誌は彼女のことを「これから大ブレイク間違いなしのR&Bアーティスト」と定義し、BuzzFeedは「貴方の人生に欠かせない41人のSXSW 2015出演アーティスト」という特集において、彼女を第4位に抜擢。彼女は最終的にSXSWで「最もツイートされたアーティスト5人」に選ばれた。
2015年4月、彼女は2作目のミックステープ『You Should Be Here』を発表。リリースにあたり、Billboard誌は直ぐに「今年最初の傑作R&Bアルバム」と絶賛。素晴らしいレビューと共に、この作品はチャートでも成功を見せ、R&B楽曲としての週間最高初登場順位を記録した他、iTunes R&B/Soulチャートで1位を記録、R&B総合アルバムチャートとカレントR&Bアルバムチャートでも2位というヒットとなる。Complex誌では「2015年注目すべきアーティスト15人」に選ばれた他、Rolling Stone誌では「2015年に知っておくべき新人10人」にも選出、さらに2016年2月に行われた第58回グラミー賞では最優秀アーバンコンテンポラリー・アルバムにノミネートされる快挙を達成。惜しくも受賞は叶わなかったものの、一気にメジャー・シーンにも知られる存在となった。
2015年にAtlantic Recordsとメジャー契約を結んだ彼女は、2016年には自身のシングル「CRZY」がロングヒットし、話題の映画『スーサイド・スクアッド』のサントラに提供したシングル「ギャングスタ」もスマッシュ・ヒット、さらに元ワン・ダイレクションのメンバー、ゼインの初ソロ・アルバム『マインド・オブ・マイン』に唯一のゲスト・アーティストとして参加するなど大躍進を遂げ、そして遂に待望の1stアルバム『スウィートセクシーサヴェージ』を2017年春リリースする。全身タトゥーのビジュアルに代表される強烈な個性、それと相反するクールなヴォーカルとキュートな美貌というアンヴィバレントな魅力を合わせ持つ彼女は、間違いなく新時代のR&Bを代表するニュー・スターとして大きな注目を集めている。
…もっと見る