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Jamiroquai

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バイオグラフィ

ジェイ・ケイ(Vo.)にはハッキリした決め事がある。モヤモヤを抱え曖昧なままに、ここまで来れたワケじゃない。シングルをトータル20曲、チャートに送り込み、ダンスフロアで熱狂を巻き起こし、全世界で通算2500万枚のセールス(2006年リリースのベスト盤含む)を記録し、今年でなんとキャリア18年目となる。 そんな彼の「決め事」とは・・・ 「曲を作る際に、まずキーボードとヴォーカル、もしくはギターとヴォーカルだけでやってみて、いい音にならなきゃやり直し」、というもの。世界中の最高のプロデューサーやミュージシャンを集めても、どれだけファンクの効いてるサウンドができても、それをクリアしなきゃ「とくべつな曲」は出来ないという。だが一旦その土台が固まれば、ジェイ・ケイは曲作りへと取りかかる・・・。 先日40を迎えたばかり、あらたなレコーディング契約も交わしたジェイ・ケイ。彼の鋭い思考と、切れ味のいい口調はいまも変わらず健全だ。「ごちゃごちゃした曲なんか作りたくない!"すごくシンプルなリリックだね"って言われるのがいちばん嬉しいんだ」と、ジェイ・ケイは話す。興味ある分野は:エコロジー/宗教/宇宙/未来学(そして勿論クルマにヘリコプター)。 「ちょっと考えてみて。歴史に残る名曲はさ、どれもシンプルなものばかりじゃない?たとえばスティーヴィー・ワンダーを聴いてみてよ。"恋にルールなんてない / それは二人だけのゲーム"。脳みそを搾って聴くような歌詞じゃないでしょ?でもハートにグッと来るんだ。ときに大切なのは「何を歌うか」じゃなくて、「どう歌うか」だとおもうよ。たとえ"丘のてっぺんに牛が一匹"って歌詞でもね、「どう歌うか」で名曲にさえなり得る。黄金のルールさ!」、と彼はすらっと言い放つ。 ジェイ・ケイの「決め事」とは他にも:「ギラギラした四角いPVはもうやめ」。実に多くの名PV映像を撮影してきた彼。次はショートフィルムPVを作ってみたいという。  ジェイがお気に入りのヘリコプターを操縦しながら、パイロット・スキルを決めている場面なんて、なかなかイケてるじゃない。 「スタジオで、曲を分析しすぎないこと」:「レコーディング中に、やり過ぎたことがあったんだ。それは、何回も同じ曲を聴きなおしていたこと。やり過ぎるとロクなことないよ。だから1曲レコーディングすれば、ある程度まで手を入れて、そのあとは2ヶ月くらい放っておくこと。で、時間を置いてまた聴いてみる。すると・・・、"いい曲じゃん!"」 「メディアに出過ぎないこと」:マスコミでは良い事も、そして悪い事も取り沙汰されたことのあるジェイ。しかしこれからは今まで以上に、音楽に集中したいという。さらに良い音楽をつくること。そう、前作『ダイナマイト』から5年、ベスト盤『ハイ・タイムズ:シングルズ1992~2006』から4年。「死活問題だぜ」と、いつにも増して率直に彼は言う。「もし今このアルバムを出さなきゃ、僕らは忘れられちまうだろう。"あぁ、あんなヤツらもいたっけな"ってね。」 そう、あのジャミロクワイが帰ってきた。フロントマン=ジェイ・ケイと、ベテランのミュージシャン仲間で組まれたグループ。アルバム通算7枚目『ロック・ダスト・ライト・スター』は、強烈で詩的で濃厚で高揚感たっぷりで、そしてどこか懐かしいアルバム。2年間をついやし完成されたこの新作は、マーキュリー・レコード移籍後初のリリース。と同時にジェイ・ケイはヘリ操縦の免許も取得し、精神的にもきびしく険しいチャレンジを乗り越えている。 レコーディングが行われた場所は、バッキンガムシア(UK)にあるジェイ・ケイのホームスタジオと;「UKで最高の機材が揃う」由緒あるフック・エンド・マナーのスタジオと; そしてタイ。(アルバムのCo-Producersにはジェイ・ケイ自身と、若手のチャーリー・ラッセル、ブラッド・スペンスが名を連ねている。) 「どうしてタイでレコーディングかって?」、とジェイ・ケイは話す。「きれいな姉ちゃん多いだろ?それが主な理由さ。ってのは冗談!あそこにね、UKと全く同じミキシング機材が揃ってるスタジオを見つけたんだ。それにタイは物価が安いし、メシも安い。イングランドの哀れな2月雨に打たれてフック・エンドでレコーディングを続けるよりも、タイに行こうってことになったのさ。」 収録予定曲のうちの1曲、カリフォルニアの青い空がイメージのバラード曲「ブルー・スカイズ」は豊富なストリングスと、ジェイの感情たっぷりのヴォーカルが魅力。そして「アイヴ・ビーン・ハーティン」(レッド・ツェッペリンのリフと、ダニー・ハサウェイのヴァイブを兼ね備えたようなナンバー)も、ヴォーカルが際立っている。「アイヴ・ビーン・ハーティン」は、見事なまでにミニマリズムをきわめた曲であり、エレキ・ギターと感動的なヴォーカルの掛け合いが聴き所。「この曲のレコーディングは、夜中の2時に仲間全員とね、スコッチウィスキーを片手に作った曲さ。その甲斐あったよ!」 ヴォーカルについてジェイはこう話す。「少し歌い方を変えてみたんだ。前よりもレイドバックに、ゆったりめで歌ってる。音楽とともに僕も成長してるのさ。」 ニューアルバムからサンプル曲として、唯一「リミテッド・エディション」LP版でリリースされたのが、「ホワイト・ナックル・ライド」。スピード感あふれる、シンセサイザーを駆使したディスコ・チューン。この曲が初めて誕生したのは2年前にまでさかのぼるという。「時間をかけてじわじわと練り上げられた曲さ。でもリリックだけはね、特にサビの部分は、調子が乗って15分~20分くらいで出来上がったよ。」 曲の内容には、「自分が望むものには、気をつけたほうがいい」というメッセージが込められているという。これは彼自身がこの業界で培った経験から発したもの。きびしい現代を生きる誰もがおそらく共感できる曲だろう。 「それから今回のアルバム、すべての音を生で録音したんだ。バンドの音を生演奏でね。前作もすばらしかった・・・、でもスタジオで分析したりなんかして、"スネアを0.01秒くらい早くしてくれる?"とか、どうしても"作った感"が出てしまってた」、と自身をきびしい目で見つめるジェイ。ソングライターであり同時にパフォーマーであるその直感力が、彼の音楽をここまで進化し続けたのだろう。「だから今回は生でいこう、って決めたんだ。曲がだんだんと高まっていく印象を受けるのは、しだいに勢いが増してるから。アドリブで流れ出すものが、「生演奏」にはあるんだ。まるでライヴステージをやってるみたいに。」 ブルース/レゲエの雰囲気を醸す楽曲「グッドバイ・トゥ・マイ・ダンサー」についてはこう語る。「ある女性について歌ってる曲さ。内容は少し変えてあるけれど、むかし付き合ってた恋人が、ほかの人と結婚して・・・っていうね。恋人にふられて独りぼっち、あのほろ苦い感じ。ちょっぴりエッチで、ちょっぴり大胆でもある曲さ。」 ジェイ・ケイについて全く変わっていないことがあるとすれば、それは彼の素直さだ。思ったことは素直にそのまま口にするという、切れ味ある言いっぷり。アルバムタイトルと同名の楽曲「ロック・ダスト・ライト・スター」(鋭いメッセージが込められた、胸ゆさぶるパーティー・チューン)について、こう語ってくれた。 「あれはマレーシアのクアラルンプールで、ツアー中の出来事だった。バンド仲間と一緒に夕飯を食ってた時だな。向こうから数人、僕らのほうに歩いてきた。まったく見覚えのない人らだよ。見た目からして気に入らなかった。とにかく、そいつらと宗教の話になったんだ。僕はそれまでもずっと、信仰心なんて無くて、関心もなかった。でもその時に思ったね。なんて面白いんだと。神が存在するなんて証拠もないのに、みんな信じてるでしょ?」 「で、そいつらと話してる最中に、その考え方にイラッときてね。"俺もう帰る!"って言って、その場を去っちまった。で、考えたよ・・・。俺は「一度起きたことは、二度起こる」ってことを強く信じてるのかもしれないって。つまり、この地球はいつかまた、隕石にやられちまうんじゃないかって思ったんだ。」 隕石について思考を巡らせていると、ジェイは自分の人生についても考えるようになったという。 「このタイトルはね、なにで僕らは作られているか、を意味してる。僕らはみんな、"星くず"(Stardust)っていう単なる砂埃みたいなもので出来上がってるんだ。そこで思ったね。内にこもって祈ってるだけじゃもったいない。もっと外へ飛び出していこうぜ、って。夜空がキラッと輝けば、手を合わせて拝んでもいい。でも拝んでるだけじゃ、誰も救ってはくれないからね。」 「そういうことをずっと思ってて、やっと表現できたよ。多くの人が宗教に答えを求めてる。でもそれへのアンチテーゼとしてこの曲を作ってみた。"天から救いがやってくる"だって?天から降ってくるのは、デカい隕石くらいさ。秒速4万マイルで地上に衝突。38秒もたたないうちに、石器時代へ後戻り。」 彼はイキイキと胸を躍らせながら、そう語る。その同じ情熱と喜びが、ジャミロクワイの音楽を作り出し、彼らを世界でもっとも偉大なるライヴ・バンドへとのし上げたのだろう。この夏、ジャミロクワイはヨーロッパの音楽フェスを飛び回り、ヘッドラインショーを開催している。そしてロンドンのハイド・パークでは、スティーヴィー・ワンダーのサポートアクトとして出演した。現在まさに超HOTなバンド、フロントマンにはUKで随一のカリスマを持つ男=ジェイ・ケイを構え、数々の音楽賞も受賞している。  主なところでは、5つのMTVアワード賞受賞、英アイヴァー・ノヴェロ賞、そしてグラミー賞など。 「生き返った気分さ。音楽面でも、ビジネス面でもね」、7枚のアルバム契約をソニーと終えたばかりのジェイ・ケイは言う。初めてレーベル契約を果たしたのが22歳。  「そろそろ新しいスタートを踏み出したかったところなんだ」、と彼は話す。 そして今、すべては順調にスタートを切った。マーキュリー・レコードでの新しいチームメイト、ミュージシャン仲間やプロデューサー達との新鮮なクリエイティブ・パートナーシップ、それにヘリ操縦免許までゲットして、体内のアドレナリン/情熱も燃え盛るばかり。仲間たちとともにアイディアを投げ交わし、ツアーに飛び出し、世界中に新曲をとどける時がやってきたのだ。 「人生は40からスタートだ、って言うでしょ?それほんとだな」、とジェイは白い歯を見せて微笑む。「いまでも音楽やれているのは、ほんとに恵まれてるしラッキーなことだよ。道のりはまだまだ長いぜ。僕らがどんどん前に進んで行けるのは、初期の頃やったライヴ経験があるからこそ。そしてそれは、今回のアルバムでも表れている。過去には良いことも悪いこともあった。だけど僕らは今も音楽やってる。それはマジ最高さ。」 最高の音楽をとどけに、ジャミロクワイが戻ってきたー。 『ロック・ダスト・ライト・スター』はマーキュリー・レコードより2010年11月にリリース予定
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