家にあったアップライト・ピアノを玩具がわりに触り始めたことがきっかけで6歳からピアノを習い始める。
クラシック・ピアノを学ぶ中で様々なコンクールに出場し、優秀な成績を収め、高校卒業後に奨学金を獲得しアメリカの名門音楽大学“バークリー音楽院”へ入学し、それを機にジャズの理論や演奏法を学んだ。
同級生には、グラミー賞最優秀新人賞を獲得したベーシスト/ヴォーカリストのエスペランサ(・スポルディング)や、故プリンス、トム・ヨークらとも共演を重ねてきた新鋭トランペッター=クリスチャン・スコット、ハービー・ハンコック、パット・メセニーといったジャズ界の大御所から絶大な信頼を得ている名門ブルーノート・レーベル所属のドラマー=ケンドリック・スコットといった有名アーティストがおり、「圧倒的な天才を目の当たりにして自信を無くした時期もあった」が「ミュージシャンとして生きていくことが自分にとってやりたいことと思えるようになったのはバークリー在学中だった」
と本人も回顧している。
在学中からボストンのジャズ・クラブで活動したほか、教会音楽へも興味を持ち始め、教会へも演奏活動の場を広げた。
尊敬するミュージシャンのアドバイスもあり、その後いよいよニューヨークへ進出。
進出直後は中々仕事に恵まれなかったが、ほどなくニューヨークを拠点にアメリカのヒップホップ・シーンをけん引する大御所アーティスト=タリブ・クウェリと、ネオ・ソウル界で活躍しているシンガー=ビラルのバンドへの加入しニューヨークのシーンでその認知度を上げていった。
特にビラルのバンドでは、グラミー賞も受賞し、ヒップホップとジャズを横断するそのユニークなスタイルで絶大な人気を誇るロバート・グラスパーとも共演。ジャズ・シーンにおいてもその存在感を強めていった。
その後ジャズ界で最も権威ある賞である“セロニアス・モンク・コンペティション”で優勝し、ジャズ・シーンにおいて新たなスターといわれているベーシスト=ベン・ウィリアムスのアルバムや、デヴィッド・ボウイのシングル「Sue」やブラッド・メルドーとのデュオ“メリアナ”などなど様々なプロジェクトで話題となったジャズ・ドラマー=マーク・ジュリアナのデビュー作『My Life Starts Now』などへも参加。
そのような活動が評価され2016年には大手ジャズ専門誌の『JAZZ TIMES』で読者投票のキーボード奏者部門でハービー・ハンコック、チック・コリア、ロバート・グラスパーと並んで入賞するという快挙を達成した。
またジャズ・シーンだけでなく、R&BやHipHopのシーンでも活躍しているBIGYUKIは、長年レコーディングなどへ協力してきたHipHopのレジェンドであるQティップが所属するグループ=ア・トライブ・コールド・クエストが2016年11月にリリースした新作にして最終アルバム(メンバーであるファイフ・ドーグが2016年3月に逝去したため、実質ラスト・アルバムと称されている)『We Got It from Here… Thank You 4 Your Service』に8曲ミュージシャンとして参加し、3曲Qティップと楽曲を共作、そして1曲楽曲を提供。この作品が全米アルバム・チャート1位を獲得し、オノ・ヨーコ&ジョン・レノン『ダブル・ファンタジー』以来36年ぶり、日本人2人目となる全米1位作品参加の日本人となった。
さらにジェイ・Zが立ち上げたレーベル“ロック・ネイション”の契約第1号アーティストとしてデビューし、ケンドリック・ラマーと並んで現在HipHopシーンで最も注目されるアーティスト/プロデューサー=J. Coleの2016年リリースの最新作『4 Your Eyes Only』にもミュージシャンとして参加。同作も全米1位を獲得。日本人としては初めて全米1位2作品に参加するという快挙を達成した。
さらにはアメリカCBSの人気トーク番組“The Late Show with Stephen Colbert”のハウスバンドに抜擢され様々なアーティストと共演を果たしつつ、今年2月には黒人文化を発信するコミュニティ=Afropunkが主催した、ブラック・ミュージックの聖地“アポロ・シアター”でのコンサートで、ロバート・グラスパーを筆頭に数多くの黒人ミュージシャンが参加した中ただ1人、黒人以外のアーティストとして参加するなど、日本人ながらブラック・ミュージック・シーンの旗手ともいえる活躍を見せる、ジャズ~ソウル~ヒップホップが交差するニューヨークのミュージック・シーンで“現在最も注目されているアーティスト”だ。
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