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説明文

応仁時、山城の地侍、「骸」は郷を襲った足軽の凶徒らから妻子を救うために弓と槍、剣を振るい、果てには火までかけて奮迅したが、あまりにも剣に酔い過ぎてすべてを失い、天魔の哄笑とともに生きたまま第六天魔界に落とされた。「骸」は産まれ落ちてからこの日まで、つねに魔縁に生道を犯され続けられており、妻子の存在のみがこの世に生を繋ぎ止めていた。第六天魔界で天魔より妻子の骸を弄ぶ幻視を見せられ続ける「骸」は、狂気にまみれて天魔の素っ首を切り落とすことを決め、この日も道を塞ぐ鬼の首、百万を落とし、山の頂に並べてその邪目と舌で天魔のいる方向を「シッシッッ」と探るのであった。第六天魔界は血肉の大海に浮かぶ八州の島嶼がその全てで、そのどこかに天魔がいるのであった。風に乗って届く天魔のせせら笑いが、今日も「骸」の毛を怒りで総毛立たせ、怒号が山を揺らした。「骸」は腰と背に刀を六本、槍一筋、火縄一丁を携え西へと走り出した。第六天魔界においては思念が強いものが強者、それ以外は弱者である。魔縁に導かれる者同士の喰い合いが無限に繰り返され、海は血肉で日々膨れ上がり、八州を少しずつ飲み込もうとしている。だが、人も鬼も獣も魔縁に犯され身動きがとれない。正に地獄の中の地獄に「骸」は独り立っていた。
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