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説明文

潮鳴町では、この時期に強い南風と激しい雨が降る。体育館ではその湿気で卓球台が濡れ、吹き付ける風は海ぶどうの匂いがすると地元の娘は言っていた。我が家では、この風と雨の中、リビングで干し上がった洗濯物の脇で、犬も猫も人間らも限りなく水平線に近付こうと競うかのごとく平になり動かない。晴れならば空からゴーッとエンジン音がすれば、犬と兄は尻を激しく振りながら窓に走ってゆき空を見上げ、妹はそれを見て後から駆けていく。そのうしろ姿から、たぶん3者とも別々なものをそれぞれ高い空の中に追っている。残った猫は、獣の誇りを失なうことなく、高台から冷静にその姿を黄緑色のビー玉の目で追っていた。ある意味、その威厳に満ちた姿は時に人間から見ると退屈そのものとも見てとれた。話しは少し逸れるが、監視カメラを下から見上げるとなんとも退屈そうにしている、といつも思っていた。中身も軽そうだし、目は虚ろな感じだし。でも、それが強面にも感じて不思議に見てしまう。つい、向こうに誰かがいるのを忘れてしまうのだ。
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