そういう訳で、私は朝がたに鳥たちの声を聴きながらバスタブに浸かってます。さっきまで早起きして、遠浅の海を見ながら散歩をしてヨガに参加した後、部屋に戻ってからのお風呂は、体をいたわるように香りとともに身体に染み渡ってくる感じ。
見上げれば、お風呂の天井は丸裸で屋根はなくて、朝焼けの空を遠い雲が、四角に切り取られた天井が有るべき場所に朝日を纏いながら流れてゆきます。隣のダイニングからはホテルのスタッフが朝ごはんの準備しているカラトリーの音が聞こえてきます。読みかけの小説を置いて、温まった身体にバスローブを通して、髪をほどいて、あとはあなたがよく知っている、いつもの朝の儀式通りね。
それからダイニングに通じるドアを開けて、朝の挨拶とともに軽やかにスタッフの一人にチップを渡し、笑顔で下がってもらった。そうしたら、次はテーブルの上にのった朝食を見渡すの。トーストとブリオッシュ、ベーコンとたまご、ヨーグルトとフレッシュフルーツ、スイカジュースに紅茶、いつもの朝食に久しぶりに出会えて、すごい嬉しい。
ねえ、あなたならここがどこか分かるでしょ。だからメールはせずに手紙を書いたの、あなたにしか分からないこの場所をまた二人で満たしたいのよ。手紙は誰かに見られてもいい、だってここを知ることは二人以外には無理。あなたからこんなに離れた場所であなたの心はここにある。
どうか、私に何も知らせずにここに来て。わたしの心が無防備なまま、あなたが入ってくるのを待ってます。旅行の準備なんかしないでね。前と同じようにここで全て買い直せばいいでしょ。あなたがあの時してくれたこと、今度はわたしがしてあげたいの。じゃあ、そちらの皆さまによろしく伝えてね。
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