クラッシック音楽になじみのない方も、なんとなく聞いたことがある作品のプレイリストです。今回はオペラ(歌劇)に登場する有名な歌曲を集めてみました。オペラはただでさえ「とっつきにくい」クラッシック音楽の中でも、さらに「敷居が高い」と感じる方が多いジャンルですが、劇中で使用される器楽曲(序曲や前奏曲、間奏曲・・・)や歌曲の中には、広く親しまれている曲が多いです。このPLではそのような歌曲を紹介します。
#1 ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 歌劇「椿姫」第1幕 「乾杯の歌」
歌劇「椿姫(La Traviata)」はヴェルディがパリ滞在時にアレクサンドロ・デュマの戯曲を見て感動し、曲を付け全3幕のオペラにした作品。華やかで活気のある曲であるため、CMソングやドラマ・映画でもよく使用されている。今日ではヴェルディの代表作というだけでなく、世界中のオペラ劇場で最も上演される回数が多い作品の1つとなっている。
#2 ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル作曲 歌劇「セルセ」第1幕より 「オンブラ・マイ・フ」
「セルセ」は「クセルクセス」と呼ばれることもある。ペルシャ王セルセ(クセルクセス1世)によって歌われる。詩はプラタナスの木陰への愛を歌ったもの。「オンブラ・マイ・フ」とは「今までになかった(木陰)」という意味。この曲はそのおだやかな曲調から19世紀には「ヘンデルのラルゴ」として愛唱されるようになった。日本では何といっても、このキャスリーン・バトルによる録音が実相寺昭雄監督による映像とともに1986年夏からニッカウヰスキーのCMに使用され大きな反響を呼んだ。このCMのおかげで商品『スーパーニッカ』はウイスキー市場が縮小する中、売上を2割増加させている。
#3 ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲 歌劇「魔笛」第2幕より 「夜の女王のアリア」
本プレイリストにある曲のタイトルは、正式には、「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」である。オペラ「魔笛」の登場人物であるヒロインの母親(夜の女王)が劇中で歌う2曲のアリアのうち、第2幕で歌われるこの2番目の曲の方が断然有名であり、単に「夜の女王のアリア」と言えば普通この曲の方を指す。この曲はまるで声を転がすように歌う技法(コロラトゥーラ)と高い声域の歌が特徴的で聞いている人の印象に強く残る曲となっている。
#4 ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル作曲 歌劇「リナルド」第2幕より 「私を泣かせてください」
「リナルド」は11世紀のエルサレムを舞台にした叙事詩「解放されたエルサレム」が原作。これを全3幕のオペラとした。ヘンデルはこれをわずか2週間で作曲し、台本が追い付かない状況となった。「私を泣かせてください」はソプラノによる甘く切なく美しい旋律が魅力的で、映画「カストラート」、NHKの朝ドラ「ちゅらさん」やTVドラマ「牡丹と薔薇」で使用されている。
#5 ジャコモ・プッチーニ作曲 歌劇「ジャンニ・スキッチ」より 「わたしのお父さん」
「ジャンニ・スキッチ」はダンテ・アギエーリ原作の「神曲」に基づく全1幕のオペラ。タイトルは主人公の名前。プッチーニにとって唯一の喜劇オペラ。「私のお父さん」はソプラノで歌われるアリアで、素朴な情感と愛が詩情をもって歌われている。このオペラの中でも一番の聴かせどころとなっている定番曲。単独でコンサートやリサイタル等でもよく歌われる。アカデミー賞受賞映画「眺めのいい部屋」の主題歌。
#6 リヒャルト・ワーグナー作曲 歌劇「ローエングリン」第3幕より「婚礼の合唱」
日本ではメンデルスゾーンの「結婚行進曲」と並んで、結婚式にオルガンなどで演奏されることが多い。劇中では白鳥の騎士ローエングリンとブラバント公国の公女エルザの結婚式の場面で歌われる。ただし劇中で結婚した2人は最後には死別することになるので、ドイツではこの曲を結婚式で演奏することを禁止する教会もあるとのこと。
#7 ジョルジュ・ビゼー作曲 歌劇「カルメン」第2幕より 「闘牛士の歌」
オペラ「カルメン」はメリメの小説「カルメン」を基に作られた台本にビゼーが作曲した全4幕のオペラ。世界で最も人気のあるオペラの一つとされる。「闘牛士の歌」は通称であり、「諸君らの乾杯を喜んで受けよう」が本当のタイトルとされている。劇中の登場人物で闘牛士のエスカミーリョが酒場で兵士たちと歌う曲で、親しみやすい曲調と堂々とした旋律で、CMやドラマなどでもよく使用されている。カルメンの劇中には、本曲以外にも「第1幕への前奏曲」や「第3幕への間奏曲」、「ハバネラ(恋は野の鳥)」などの超有名な曲が多いので、入門編としてもオススメオペラの一つ。
#8 ジャコモ・プッチーニ作曲 歌劇「トゥーランドット」第3幕より 「誰も寝てはならぬ」
プッチーニが作曲した曲の中でも特に有名な曲で、テノール歌手のレパートリーとして取り上げられる頻度の高い曲。劇中ではトゥーランドット姫が望まぬ結婚を避ける条件をクリアするまでは、国民に寝ることを禁じたお触れを出した場面で歌われている。三大テノールの一人であるルチアーノ・パバロッティの代名詞ともいわれる曲として知られており、そのCDは全英で400万枚、全世界では1200万枚以上という、クラッシックでは異例の売り上げを記録した。
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