音楽が終わったら

開け放った窓から夜風とともに 寺の墓地を抱える向かいの山から 秋のおとずれは涼やかに 小さき羽を震わせて 鈴虫の鳴く声は燐燐と 大きな脳の持ち腐れ 自然の摂理をはなれ 迷路に迷って逝き詰まり 奇妙な世界から抜け出せぬ 人人人よ憐れと鳴く まあるい月を手鏡に 己れの姿を照らしてみれば 答は自ずと明らかなるか 答は風の中とやら 耳を澄ませば悟れるものか 音楽が終わったら 酒の酔いの醒めぬうち しめやかな埋葬の儀式にうつろうか 愚かなる過去への訣別と 新たなる未来への旅立ちのために