病気で倒れてから、ちょこちょこ書いてる『ビビの冒険シリーズ』。
クリスマス🎄のリストに載せたのはそのうちのひとつで、元のタイトルは『ビビのクリスマス』でした。
彼女にとても評判が良かったので、時々他の話も載せようかなと思案中w
今回載せるのは初めて書いたビビの話の第一作目のお話し。
もし気が向いたら、ディズニーの音とあわせて読んでみてくれると嬉しいです✨️ 🤠🐦
『ビビ宇宙飛行士を夢見る』
✨ 星を見ていたビビ
夜の公園は、しんと静まりかえっていた。
ビビはジャングルジムのてっぺんに座って、星空を見上げていた。
6歳のビビには、ママの声も顔も、もう、ぼんやりとしか思い出せない。
ママはビビが生まれてすぐ、天国へ行ってしまったから。
パパはやさしいけれど、お仕事がとても忙しくて、夜も遅い。
「宇宙って、ほんとうにきれいだ……」
そうつぶやいたそのときだった。
流れ星のなかに、ひとつだけ、ゆらゆらと落ちてくる小さな光があった。
プスッ……と草むらに着地したのは、手のひらに乗るほどの銀色のUFOだった。
✨ 元気のひかり
小さなハッチがパカッと開いて、
指ほどの大きさの宇宙人がぴょこんと出てきた。
頭にふわふわの触角が二本、目はまん丸でキラキラしていた。
「やあ、地球の子。僕の名はミロ。エネルギー切れで、不時着しちゃった……」
ビビは目を丸くした。
「エネルギーって、お腹減ったの?」
ミロはくすっと笑った。
「違うよ。ぼくじゃなくて船さ。ぼくらのは“元気のひかり”で動くんだ。
走ったり、笑ったり、夢を見たりする子どもたちの光。それがこの星にたくさん見えたんだ」
ビビは少しうつむいた。
「でも、ぼく……最近あんまり元気じゃないんだ」
ミロは優しく触角を揺らした。
「それでもいい。ビビの胸には、まだ小さな火がちゃんと灯ってる。それを少しだけ貸してくれないかな?」
ビビは大きくうなずいた。
「うん、全部あげる!」
ビビが両手を広げると、胸の奥からふわりと金色の光がこぼれた。
その光がUFOに吸い込まれると、ぱあっと明るくなって、船はゆっくりと回転しはじめた。
✨ ひとっ飛びの宇宙へ
「ありがとう、ビビ。お礼に、特別な場所へ連れてってあげる」
ミロが指をくるっと回すと、ビビの体はシューッと小さくなって、ミロと同じ大きさに!
ふたりで小さなUFOに乗り込み、夜空へふわっと浮かんだ。
あっという間に地球は青いビー玉になり、
星たちが集まって流れる大きな光の川が現れた。
「ここは天の川のほとり。星はね、みんな誰かの願いでできてるんだよ」
ミロが遠くを指さした。
白く、優しく輝く星がひとつあった。
「あの星……ママの光に似てる」
ビビの声が小さく震えた。
ミロはそっと微笑んだ。
「そうだよ。いつもビビを見てる。寂しくなったときは、あの光を思い出して」
ビビの目から、ぽろっと涙がこぼれた。
でもそれは、温かくて、なんだか嬉しい涙だった。
そのとき、ビビの胸の奥で、金色の火がふっとまた灯った。
さっきよりも、ずっと明るく、あたたかく。
✨ あたたかい手
……目が覚めると、ビビは公園のベンチで眠っていた。
「ビビ、ここにいたのか」
パパが少し疲れた顔で立っていた。
「帰ってこないから、心配したよ……風邪ひいちゃうぞ」
ビビは飛び起きて、パパの大きな手に自分の手をぎゅっと重ねた。
「パパ、ぼく決めた! 大きくなったら宇宙飛行士になる!
ママのいる星まで、絶対行くんだ!」
パパはびっくりした顔をして、それからふっと笑った。
「……いい夢だな。パパも連れてってくれ」
ふたりは笑いながら、手をつないで家に帰った。
ビビの胸の中には、小さな金色の火が、今もぽうっと灯っていた。
(また会おうね、ミロ)
おしまい
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