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説明文

噛み合わない会話。君の部屋。僕と君のクリスマスイブ。星の帽子をかぶった、ツリーの周りをライトを灯したNゲージの江ノ電が慌ててガチャガチャ走ってる。Nゲージは君の趣味、僕のじゃない。僕らはこたつを囲んで、まるで膝を抱えて座っているかのよう。君の視線と言葉は、上に向かって雲を吹いているかのように無言で無垢そのもの。君の心はそれに対して大きく開ききっている。笑顔で音のない会話をしている。君の部屋にそいつが降りて来た。今年もそいつは来た。時間もいつもぴったり。でも僕にはそれが見えない、君はその事を知らない。イブが過ぎるとそいつは無邪気にも天使のように帰ってゆくのだ。最初にそいつが来たのは二人が喧嘩した後だったから、ふざけているのだと思った。でも、どんなことをしても君は帰って来なかった。イブが過ぎるまでは。そのことの記憶が無い君は、やつがいなくなった時の僕の表情や態度を見て、本気で泣いたり怒ったりして僕を混乱させた。だから、僕は今年も待つ。イブが過ぎるのを。そして、まるで二人がイブを楽しく過ごしているかのように、こたつのテーブルの上を飾り、ワインの栓を抜いて、チキンを切り分け、マッシュポテトを作り、いんげんをソテーして君の皿にのせる。小さな部屋の、周りを見渡すと窓や壁にクリスマスの飾り付け。君の趣味で飾られたそれは無言で僕を拒否する。半分馬鹿にした笑いを含みながら。僕の時間はぐるぐる回り、むくれたり、空しくなったり、苦笑しながら空回りしてイブが過ぎるのを待っている。そして、最後はいつも君が帰って来ないんじゃないかと恐れながら半泣きで待っている。一分一秒でも過ぎないよう祈っている。本当はいつかやつに連れていかれてしまうんじゃないかと思ってるんだ。その事に気が付いた時に。その事を知った時に。でも、君は本当に何者なの。
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