#1 opening : シルエット/ KANA-BOON
#2 Vivi's Theme : 真夜中のオーケストラ/ Aqua Timez
#3 Yuyu's Theme : TWINKLE TWINKLE/ Secret
#4 冒険のはじまり : ブルーバード/ いきものがたり
#5 楽しい旅路 : ラブソング/ OKAMOTO'S
#6 ずるっこコウモリ : newsong/ tacica
#7 ユウユの優しさ : For You/ AZU
#8 Ending : 道 〜to you all/ aluto
『ビビとユウユのふわふわ王国』
🌈 虹色の羽毛
その日、ビビとユウユは学校のニワトリ小屋の掃除当番だった。
ほうきを動かしていると、ユウユが急に目を丸くした。
「ビビ! ちょっと来てみて!」
小屋のいちばん奥、干し草の山のかげで、
小さな虹色の羽毛が、ふわっと淡く光っていた。
ユウユがさっと手を伸ばし、触れたその瞬間――
音もなく床がぽっかりと丸い口を開け、
ふたりは叫ぶ間もなく、光と風の渦に吸い込まれていった。
「きゃーっ!」「わっ!」
ビビは必死にユウユの手をつかみ、ふたりはぎゅっと抱き合ったままくるくる回った。
光がぱっと弾けて、足元にふわりと柔らかい草の感触が戻ってきた。
🐇🐇 空の上の国、まめうさぎ
目を開けると、そこは白い草が一面に揺れる、雲みたいな草原だった。
風が吹くたび、草がさわさわと波打つ。
「ねえビビ! 雲が下にあるよ!」
ユウユが指さす先、草原の切れ端からのぞくのは、はるか下の雲の海。
「ここ……空の上なんだ……」
足元で、ころん、ころんと小さな影が跳ねた。
「わっ、うさぎ!? ちっちゃい!」
手のひらに乗るほどのまめうさぎが二匹、ぴょんと飛び上がった。
丸い目をいっぱいに開いて、震える声で言った。
「ぼ、ぼくたちはふわふわ王国のまめうさぎです!」
「たいへんなんです! 島が落ちそうなんです!」
ふわふわ王国は、空に浮かぶたくさんの島でできた国。
中心にある“勇気の水晶”が、島を浮かせる力の源だという。
「その水晶を、ずるっこコウモリが盗んじゃったんです……!」
ビビはそっとしゃがんで、まめうさぎたちと目を合わせた。
「じゃあ、取り返しに行こう。困ってるなら、ぼくたちも手伝うよ」
ユウユはにやりと笑った。
「決まり! 冒険、スタート!」
🌳 森の迷路とふわふわ石橋
ふわふわ王国の森は、夢みたいな場所だった。
もこもこの木が作る半透明のトンネル、宙に浮かぶ石の橋、
ふっと上昇気流が吹いて体が浮かぶ場所もある。
「うわー! 楽しい!」
ユウユは怖がらずにどんどん先へ飛び出していく。
ビビは少し怖がりだけど、よく周りを見て道を見つけるのが得意だった。
高いところはユウユがぴょんと飛び乗って道を教えてくれて、
怖がって動けなくなったまめうさぎたちは、ビビが優しく抱っこして渡してあげた。
ふたりはだんだん、おたがいのすてきなところに気づいていった。
🦇 ずるっこコウモリの城
黒い岩山の上に、ぎざぎざしたお城が立っていた。
中は薄暗く、天井から小さなコウモリたちがたくさんぶら下がっている。
いちばん奥の部屋に、大きなずるっこコウモリがいた。
腕の中には、キラキラ光る“勇気の水晶”。
「返せって? 返すつもりなんてないよ!」
ユウユが一歩前に出て、腕を組んだ。
「返しなさいよ! このままじゃ王国が落ちちゃうんだから!」
ビビも静かに、でもはっきり前に出た。
「ねえ……返してほしい。まめうさぎたちが泣いてるんだ」
ずるっこコウモリは翼を少し縮めた。
「……ぼく、弱虫だから……勇気がほしかっただけなんだ……」
ユウユはちょっとだけ声を柔らかくして言った。
「勇気って、盗んで手に入れるものじゃないよ。……でも、欲しいって気持ちはわかるかな」
ビビは天井の小さなコウモリたちを見て、優しく続けた。
「君はちゃんと仲間を守ってるよ。自分では気づいてないだけで、それがもう勇気なんだ」
ずるっこコウモリは水晶を見つめ、仲間たちを見上げて、
長い息をはいた。
「……そっか。気づいてなかっただけか」
そして、そっと水晶を差し出した。
「ごめんね。返します」
🏰 王国の光、そして帰り道
勇気の水晶が戻った瞬間、
ふわふわ王国全体がぱあっと明るい光に包まれて、
浮かぶ島々がぐんと高く、しっかり空に留まった。
「ありがとうーーっ!!」
まめうさぎたちはビビとユウユの足にぎゅーっと抱きついた。
国王まめうさぎが、ふたりの前に現れ、
小さな虹色に光る羽を二枚、そっと差し出した。
「これは“友情の羽”。
あなたたちの心が、この国を救った証です」
ふわりと風が巻き起こり、視界が白い光に包まれていった。
――次に目を開けたとき、
ふたりはニワトリ小屋の中に、ほうきを持ったまま立っていた。
顔を見合わせて、ぽかんと口を開けた。
そしてそっとポケットを探ると、
そこには、“友情の羽”が
静かに、たしかに、虹色に光っていた。
それは、ふたりだけが知る、
本当の冒険の証でした。
おしまい
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