ヤッ！ホーゥイ！

その一声で幕は開く。「ようこそ私のリストランテへ！ようこそ私のテアトロへ！」そこは、古めかしいオペラ座だった建築をダンスホールに改築して、今は劇場付きのレストランとなっていた。オーナーは在米キューバ人で、それこそオールドキューバン時代を体現しているかのような恰幅の良さで、時にはエントランスからテーブルへサルサを踊るようにお得意客を導いてゆく。その時の会話は重くもなく、軽くもなく、心得たもので、さりげなく年頃の娘の誕生日パーティの予約を引き出すのはお手の物、つねに奥方への目配りを欠かさないから、旦那衆もそこにいる間は威厳を保ち、それぞれの役を果たすように他のテーブルの旦那にさりげなく黙礼を送るのだった。テーブルの位置はある程度、この街での影響力の強さを現しており、中央は金融と石油、最前列は芸能関係、左右のソファー席は地主、ワイン造酒業界、警察や高級官吏、等々。そして、3つある箱形の二階席は知事や誰もが認める伝統の中で影響力のある一族、司教が座ることになっていた。さて、この先はご存知の通り①怨恨殺人②野望立志伝③身分違いの二人の駆け落ち④ゾンビ来襲、と、どれかひとつの選択による展開となります。どうしましょうか。