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説明文

東南アジアは、中国から陸伝いに流れ込んだ文化と、海伝いにインド~イスラムが流れ込んだ文化に大分される。島国や海岸地域ではポリネシアなど海洋民族の影響も色濃い。近世以降ではそれらに西欧からの植民地化、ポップ&ロックの影響が加わる。 インドシナはカンボジアで栄えたクメール文化が基調。この地域で唯一植民地化から逃れたタイに色濃く残る。 ①②ヴェトナム 元は海洋民族、後に雲南の民族南下による影響を受け、南北、内陸と海岸で地域差が大きい。一弦琴(ダンバウ)はヴェトナムの優雅で繊細な感覚を象徴する。一本の弦の張力を変え、弾く手を弦に当てるハーモニクスでどんなメロディも可能にする。千年の歴史を持ち、かつて盲目の吟遊詩人が持ち歩いた。 ③カンボジア クメール音楽は7~14世紀の王朝時代、アンコールのレリーフにも刻まれている。カンボジアはクメール文明の中心地で東南アジアの重要な鎖だが、かつての政変により文化も瀕死の状況。音楽は仏への贈り物として、祭や儀式、冠婚葬祭、寺院での劇で演奏される。 ④ラオス 雲南から南下した民族が14世紀に建国。後にタイの支配を受けた。交唱歌のラムと笙伴奏のケーンが代表的。ラムは基本的には男女の掛け合い歌だが、韻を踏み、伝統的メロディとモードを身につけるなど、難しいルールがある。 ⑤タイ 東南アジアで唯一植民地支配を受けず、クメール文明を色濃く残す。高度に整備された音楽理論を備え、クメール文化を独自のシステムに消化。定旋律の上に即興を重ね、「極端に無組織的、相対的、非構造的で凝集していない(綾部恒雄)」。七等分平均律五音音階の節回しによる独特のフェイントのかかったような心もとなさ。楽器は舟型木琴のラナートが主役。編成により以下の3種に分類される。 1)ピー・パート ラナート・エクを中心にダブル・リード笛のピーと太鼓が加わる。 2)クルアン・サーイ 弦楽器を中心に縦笛のクルイや太鼓が加わる。 3)マホーリー合奏 ピー・パートの旋律打楽器とクルアン・サーイを合わせ、更に擦弦のソーサムサイを加えた大編成。 ⑥ゴールデン・トライアングル 中国、ミャンマー、タイ国境地域。アルバムのコメント参照。 ⑦⑧ミャンマー 16世紀以来タイのアユタヤ王朝と争い、交流してきたため共通点が多い。ルーツは雲南。相違点は、英国の植民地時代以降、軍事色が色濃く、保守的、非民主的。北は中国、西はインドに接し、どこかエアポケットに填まったような不思議な感覚。七等分平均律と強烈な二拍の裏拍子で、「花火のように一気に燃え上がってぱっと散る(小泉文夫)」インド本国で遠く昔に失われたサウンはビルマの竪琴として有名。
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