君がいなくなっても僕は変わらず帰り道にラップを買って帰ることを忘れなかったし、僕だけの朝と夜は淡々と過ぎていく。

きみがもうぼくの名前を呼んでくれることは無いと認識してしまった日、ぼくは各駅停車で帰ることにしたんだ。きみはちょっと急ぎすぎなんじゃないかな。ずっと一緒の電車で行けると当たり前のように思ってたのに突然急行電車に乗り換えてしまったんだ。僕が見ていないところであのドアを出てちょうど来ていた急行電車に乗ってしまったんだ。僕は止めることも出来ないで、その瞬間も見ることもできないで、君がいなくなったような気がする一人分空いたシートを視界に入れては苦しくなった。いつもの駅に着いても当然君の姿は見えないから、夏の虫を見ても、もしかしたら君なんじゃないかなって思って、また知らないうちに朝を迎えている。ぼくは大人だから、焦ったってしょうがないってわかっているから、マネキンのように仕事をしている。