早熟の天才詩人 アルチュール ランボー。
ヴェルレーヌとの愛人関係が破綻した後、彼は 放浪の旅へ出た。
砂漠を旅するランボーは、異国で何を思い 何を見つめ 家族にそっけない手紙を書いたのだろう。
詩人であったが為に 詩人である己れから逃れたかったのかもしれない。
詩集『地獄の季節』は 堀口大学の訳で読んだ。
その中の「永遠」は 今でも感動が鮮やかで、殊の外 深く わたしの胸に刻まれたようだ。
砂漠の夜、ランボーは 煌々と照らす月明かりの下で、憎しみ合ったヴェルレーヌを 懐かしく想ったような気がする。
出会った頃の 仲睦まじく過ごした輝かしい日々を 慈しむかのように。
砂の国で。
たったひとりで。
月と星だけを友として。
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