微少機械が構築する構造体が初めて接触した地球外の生命体は、基底現実での物理本体を持たない存在だった。衛星の海底に沈澱する有機体の結合が生んだニューロコンピュータに相当するネットワーク内には、広大な仮想空間が形成されていた。微小機械群内に再現された幾兆もの地球環境と同じようなものだ。大戦から数万年をかけて、多くの人類は物理本体を捨てて仮想空間へと移住した。仮に接触が数千年早く、物理的人類とのものだったとすれば、そこに生命体が存在すると気付く間もなく有機体は汚染され、彼らの世界は即時審判の日を迎えたことだろう。
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