あいつに呼び出された俺は、しぶしぶ指定の場所に向かった。またあの、たちの悪い妄想癖の産物をさんざん聞かされることになるんだろう。溜息しか出ないわ。俺を見つけたあいつの顔は、今にも泣き出しそうだったな。必至に隠そうとしてたけど、なんだかわからんが覚悟を決めているというのはすぐにわかった。わかったよ。付き合ってやるよ。どうすればいい? あいつは、後ろを向いて、僕の存在が知覚できなくなったと思ってほしい、と言った。俺はそうしたけど、急に嫌な予感がして、振り返ったんだ。あいつは、粉々になったような、とてつもなく細くなったような、どこまでも平たくなったような、どうやっても観測できない姿になっていた。でも、笑ってた気がする。
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