道玄坂登りきって 次の交差点 右へ ゼブラを渡れば クリーム色の 古いマンション そこがふたりの始まりの場所 夢の卵を暖めていた エレベーターを降りたら 突き当たりを 右へ 世界にふたつだけの鍵を使い ドアを開ける そこがふたりの始まりの部屋 結末を知らない 君と僕さ この街の隅で 泣いたり笑ったり 無邪気なふたりが 手を振る 閉じ込めた記憶に 蘇る場面 短すぎるカーテン 笑いながら付けた 窓の外には 首都高 息をひそめ忍び足 非常階段 右へ 契約違反の犬をコートで隠し 連れ出す 通りへ出たらふたりと一匹 弾むように駆け出す 真夜中すぎさ この街の隅で 泣いたり笑ったり 確かにふたりは 溶け合ってた 風の便りも 今は届かない いくつもの季節が 通りすぎた ひとり車走らす 首都高 戻れない ふたりは 何を見たんだろう 思い出の すべてが 取り壊されるらしい すべてが… この街の隅で 泣いたり笑ったり あの頃のふたりに 手を振ろう 風の便りも 今は届かない いくつもの季節が 通りすぎた ひとり車走らす 首都高 道玄坂登りきって 次の交差点 右へ ゼブラを渡れば クリーム色の 古いマンション