外は傘行き交う 雨に流れる夏の 空をまだ睨む 割れた背中で セミの脱け殻 濡れながら しがみついてる 雨樋に 君はとっくに 飛んでったのに 花火はもう ないのだな 知らないは 知らないのまま 幸せになるために 雨の向こうへ 飛んでった 横顔がちらつく そばにいれば いつでも どこへでも行ける ような 気がした セミの脱け殻 夢の中 爪を立ててる 夏の日に 君はとっくに 飛んでったのに 何者かの温もりが 君の体を包むのさ 柔らかな思い出は 羽がたやすく 切り取った 花火はもう ないのだな 知らないは 知らないのまま 幸せになるために 雨の向こうへ 飛んでった あとかたも ないのだな 笑うほど 空っぽのまま 幸せであるように などと思って うずくまる 雨を背負って うずくまる