陽溜まりの坂道に立ちどまり 通りすぎる学生を見ていた 俺もあの頃はあんなふうに きらきらと輝いて見えたろう 授業にも出ずに お茶を飲みながら くだらない夢を話した 突然おこった不精ひげのおまえも 噂では苦労していると 今も忘れられないのは あの時の言葉 幸せになろうなんて 思っちゃいけない 愛した女ひとりと 苦労を共に出来たなら そんなささやかな人生も きっと悪くはない 夢、散りじり夏はすぎ去り それぞれの秋 たしか去年の初夏の頃 届いた一通の手紙には 旅好きなあいつのおふくろから 痛々しいほどの細い文字 ある雨の朝 見知らぬ町で 自ら命を終えたと 母に残した一行の言葉 悲しみだけが人生 今も忘れられないのは あいつの口ぐせ 人は自分の死に場所を捜すために生きる ささやかに生きている友達の 人生とは一体何んだろう あざやかに死んだ友達の 人生とは一体何んだろう 夢、散りじり夏はすぎ去り それぞれの秋 今では二人の思い出も 忘れかけるほどの毎日 ふと立ちどまる道端に 悲しいほど赤い落日 夢、散りじり夏はすぎ去り それぞれの秋 夢、散りじり夏はすぎ去り それぞれの秋