ひとつの帆船が停泊する テーブルの彼方は世界の果て ひとつの帆船が停泊する テーブルの彼方は世界の果て 錨揚げマスト白く夢浮かべて 船出する男たちの艶めく腕 雲はさまざまに水は秘めやかに 名も知らぬ国の娘頬濡らして 恋心胸の奥に見送られて いつか千年を越えて出会うはず 青い海を見つめながら 地図にない憧れを描きゆく事の 愚かさに軋む音永遠の波間に アームチェアの旅行者は コロンブスになりマゼランになり バイプの紫煙を燻らせて 平らな海に物語を発見する 温暖な気候はアジアのこのあたり 東京から西へ数十キロ 乗組員は東洋人 アイスクリームを食べながら ヨーロッパ人が見た海を感じる 暗礁に乗り上げても舵離さず 腕に鎖 骨と肉に食い込ませて ある日死のように襲う夜でさえ 青い海を見つめながら 地図にない憧れを描きゆく事の 愚かさに軋む音永遠の波間に ひとつの帆船が停泊する テーブルの彼方は世界の果て ひとつの帆船が停泊する テーブルの彼方は世界の果て