空を見ている 冬の冷たい 空気を見ている 今夜は 昼間の晴れ空を そのままに そのままに ちいさく 瞬く いくつかの星を 雲の隙間から 迎えていた この目が見ている その胸の中には 冷たく澄んだ 空気が入って 満ちている その瞳の中は 生まれ持った 孤独と やさしい気持ちに満ちている ここから全部は 見えないけれど しばらく見ていると ひとつのちいさな星が ゆっくりと動き出した 飛行機? ヘリコプター? いいえ、違います 今夜は すこし 風が吹いているから すぐそこに 時々 白い息が 夜の糸を 紡ぐように 降っては 消えた 空を見ている 風に吹かれる 雲を見ている 今夜 瞬く星と まあるい ひとつの 地球があった