ホラホラ、これが僕の骨だ、 生きてゐた時の苦労にみちた あのけがらはしい肉を破つて、 しらじらと雨に洗はれ、 ヌックと出た、骨の尖(さき)。 それは光沢もない、 ただいたづらにしらじらと、 雨を吸収する、 風に吹かれる、 幾分空を反映する。 生きてゐた時に、 これが食堂の雑踏の中に、 坐つてゐたこともある、 みつばのおしたしを 食つたこともある、 と思へばなんとも可笑(をか)しい。 ホラホラ、これが僕の骨 見てゐるのは僕? 可笑しなことだ。 霊魂はあとに残つて、 また骨の処にやつて来て、 見てゐるのかしら? 故郷(ふるさと)の小川のへりに、 半ばは枯れた草に立つて、 見てゐるのは、僕? 恰度(ちやうど)立札ほどの高さに、 骨はしらじらととんがつてゐる。
