見慣れない よごれたキッチン エプロンをかける君 トマトソースの甘い香り ふわり羽のような 爽やかに香るハーブ 君は鍋に入れようとした 「いや、 最後にトッピングしようよ」 少し言い合いになった そんな些細な戦争が 続いていくと思ってたのに 「いますぐに会いたい」なんて 言わなきゃよかった 「今夜は帰りたくない」なんて 言わなきゃよかった 「君がいなくても へいき」なんて 言わなきゃよかった 「幸せになってほしい」なんて 言わなきゃよかった このディルってハーブは まるで君みたいだって そういえば言ってたよな たまにやんちゃだったり 急にそっけなかったり そのくせとても優しかったり 色んな私の表情 君は見ててくれたのに 何一つ気付かないまま 終わってしまった恋だった こんなに君のこと好きに ならなきゃよかった 捨てきれない位の写真なんて 撮らなきゃよかった 君の好きな料理なんて 知らなきゃよかった さわやかなディルの香りだけが 切なく残った でも 偶然帰りの方向が 一緒で良かった 勇気を出してかけた電話 出てくれてよかった 君がくれた愛の言葉を 受け止めてよかった こんなにも広い世界で 出会えてよかった 出会えてよかった
