一度潰れた映画館 僕はひとり、席に着く 淡い想い、或いは過去 切り取った場面がループする 非常灯が消え、ブザーが響く 「...ね、またね」 散らせ 映画のようなワンシーンを フィルムには思い出より、 焼き付いたさよならばかりだ 聞き飽きた決め台詞さえ、 口にしたら過去になっていく 僕はここでひとり、映画を観ている "一度記憶を消してまで観たいもの" でもないはずだ 良作には程遠いも 駄作ではきっとないから 場面が変わり 声が響く 「えーとね、またね。」 散れば 映画のようなフィクションだ フィルムには時間だけが 焼き付いて止まったままなんだ "またね"なんて口約束 本気にして 出来もしないのに 僕はここでひとり、映画を観ている どこかの国が泣いたとかさ そんなものじゃなくていいよ この胸を打ち鳴らすだけでいいから 散れば 映画のようなフィクションだ リールには巻き取れない 心だけ忘れていくから 聞き飽きたセリフだとしても 馳せる思い出のままに 口に出せば今僕の物だ 散らせ 映画のようなワンシーンを フィルムには思い出より、 焼き付いた言の葉ばかりだ 出来もしない口約束、 決め台詞も全部過去にして 僕はここで一人、映画を観ている