つまさきが冷えて 目覚めたソファの上 手を伸ばしてストーブを点ける カーテンを開けて見上げた空は いつも通りちゃんと朝だった キッチンでコーヒーを淹れてみても 苦手なまま あのとき苦い言葉だって ちゃんと飲み込めたはずなのに 半透明のさよならを窓に映して 垂れてゆく雫は昨日の涙で 透き通る朝の街の 誰かの白い吐息に いつかは変わって消えてゆく 指先でまぶたの熱さを感じながら 目をこすって欠伸をふたつする 散らかった部屋の中 隠れた過去の忘れ物も 今日で片付けよう キッチンでコーヒーを捨てて 甘い紅茶を淹れ直したら 半透明のさよならを窓に描いて ぼやけてゆくそれは未来の記憶で 透き通る朝の部屋の (朝の部屋で) 誰かの愛しい寝息といつかは眠って つまさきを寄せ合う そんな日が来るなんて 今は想像もできないけど 半透明のさよならを窓に映して 垂れてゆく涙も描いた記憶も 透き通る朝の街の 誰かの白い吐息に 今ほら 変わって消えてゆく