つめたく止まっていた時間は 少しずつ流れ始め いままで忘れていた痛みが 感覚をよみがえらせる かじかむ指先で傷口をなぞり 静かに僕を見上げ 問いかける もうそばにいることができない 僕はただ その言葉を打ち消した 目を閉じて探しつづけた 暗闇のなか 何もみえない もうここにはいない わかっているのに あきらめられない たやすく失われた記憶が 空白を形づくり 積み重ねた想いをさえぎる ぬくもりをかき消すように もう二度と起こらない特別なことが 何気ない日常に 溶けてゆく そう願う 僕だけがそばにいられるから どうか僕を消さないで 振り向いて名前を呼ぶたび 少し遅れて 声がきこえる まだ僕は消えない ここにいるのに ふれられないままで 目を閉じて探しつづけた 暗闇のなか 何もみえない もうここにはいない わかっているのに あきらめられない まだ僕は消えない ここにいるのに ふれられないまま
