街のはずれの 波止場に近い 古い造りの 喫茶店 昔ながらの サイフォンの 店の珈琲 一人待つ ねぇ お父さん あの日二人で 腰かけた ねぇ お父さん 椅子もそのまま 残っています 船の時刻を 気にしてのぞく 父の形見の 腕時計 無理なこととは 知りながら ひとりこころで 呟いた ねぇ お父さん ここでも一度 珈琲を ねぇ お父さん 向い合わせで 飲みたいですね 柱時計の かすかな音も 九年むかしと 語ってる 父に連れられ 嫁ぐ日に 島を初めて 出た朝(あした) ねぇ お父さん わたしあの日の 珈琲の ねぇ お父さん 香り今でも 憶えています