現世(うつしよ)覆う帳 月をけぶらす長雨(ながめ) 飽かず今宵もまたうらぶれ 季節は移ろえども 褪せることを忘れて この心を埋め尽くす緋桜 結び違(ちが)えた糸を解き 戻ると言った契りは まるで呪いのよう 天つ風に乗って あなたの元へゆこうか 一目逢えたならば… ひらひら舞っては 散りゆく希(ねが)い 白雪に落とされた 花の色数えては 実を結ぶ春日(はるひ)に思い馳せ 袖を濡らす涙も 独りきりの夜更けも 唯一つの愛の他惜しまず 裏切り告げる 春の報せ 賭した愛だけ 恨みで編んだ餞 提げて 疾風(はやてかぜ)に乗って あなたの元へゆきます もう逢えぬのならば… ひらひら閃く刃の鋒(きっさき) この身も愛も救われぬなら あとは悪意の巣食うままに 道を違(たが)えたその足掬い もろとも共に転げ落ちて地獄まで 業の風に乗って あなたと共にゆこうか 二度と離さないと ただただ待っては打ち泣く夜は明け ひらひら舞うように 咲(わら)った貌(かんばせ)