隠した口元なら 何を言ってもバレやしない きっと陰口だって そう誰にもバレやしない だけど本当に伝えたい言葉も 伝っちゃくれないから あぁまったく面倒だな これがゲームならば 縮小したリングみたい 狭まった行動範囲 人と人が距離を生んで 僕等が見たかったものは ありふれた日常の続きだ 台無しにした青空の数だけ 日めくってきたカレンダーに 退屈しのぎにスマホの画面 「だいじょうぶだぁ」 って言ってくれよ ため息 苛立ち 交わせなかった言葉と約束 手つかずの晩飯と 空白で埋まる夜は長く テレビの臨時ニュースは お偉いさん達に嫌になるぜ 開かないシャッターに 悲鳴が張り付く 行き場のない言葉 ガムテープで「負けるな」とさ 子供達の声がストレージに格納され 窮屈に笑ってるけど なにもなく終わる今年を 袖を通すことなかった 余所行きの服が見下ろしてる 息を潜めて静かに暮らした いい小遣いもらって うたた寝だ 先のことは何もわからない それでも 考えるのを辞めた 世界にただ一人きりの街で 肩にかかる吐息を手で払う なけなしの金と 無作為な命を握りしめてる 既読のつかない僕等の想いは 色のない春夏のように 不謹慎な奴等の声に かき消されて粉々になった 憎いと言った 君の声が 正しいとさえ思えたよ 目に見えないものに心は軋む 安寧と疑いもしなかった ささやかな日々を返してくれよ 誰かに逢いたいと想う気持ちさえ 今は歌のなかに 空さえも等間隔に区切る あの人の町に今は行けない 満員電車に揺られ 君は今どこへ向かう