サタン 「つまり天使のお前が 悪魔の俺に教えを請うのか?」 シメオン 「いや、 そんなおおげさな 話じゃないんだけど…駄目? パソコン教えてくれない?」 サタン 「フッ、構わないが、 こういうのはだいたいレヴィだろ」 シメオン 「まー、そうなんだけど…」 サタン 「断られたか」 シメオン 「そんなことは無いよ、 レヴィには買うパソコンを 決めてもらったんだ」 サタン 「ほう」 シメオン 「ただねぇ…この パソコンがいいよって 教えてくれたらそれで 良かったのに、 次々別のパソコンの説明を 始めるから 『もういいや、 最初のやつ買うよ』って遮ったら… 機嫌悪くなっちゃって…」 サタン 「ふてくされた顔が目に浮かぶな」 シメオン 「だからもう 頼みにくくって…それにさ、 レヴィの説明ってなんだか複雑な 言葉がいっぱいで、 素人の俺にはひとことめから全く 分からないんだよね」 シメオン 「その点、 サタンは俺と同じで 『紙の本やめられない組』 だから、 分かりやすく 説明してくれるかなって」 サタン 「誰が『紙の本やめられない組』 だ。まぁレヴィよりは分かり易く 教えられる自信はある」 シメオン 「じゃ、教えてくれる?パソコン」 サタン 「いいだろう」 シメオン「やったー!ありがとう」 サタン 「で、早速だが…まず、 パソコンで何がしたい?」 シメオン 「ん?…何がしたい? いや、 パソコンを教えて欲しいんだけど」 サタン 「それはそうだが、 パソコンを教わって 何がしたいんだ」 シメオン 「…えーっと…だから、 パソコンを教わりたいんだ」 サタン 「いやいやっ、 それは今から教えるんだが、 その前にパソコン使って 何をしたいかを聞いてるんだ」 シメオン 「だからね、サタン。 俺は、 パソコンを教えて欲しいんだ、 分かるかい? …う~ん、 言い方が難しいのかな…?」 サタン 「いや、難しいとかじゃない。 あるだろ、ネットをしたいとか、 動画を編集したいとか、 絵を書きたいとか…」 シメオン 「俺はパソコンを教えて 欲しいんだ!!」 サタン 「はぁ〜…もういい、分かった。 本当にゼロから 教えないといけないみたいだな」 シメオン 「そうそう、 俺のことは生まれたての赤ん坊だと 思って手取り足取り 一歩一歩教えてよ」 サタン 「じゃ…とりあえず、 パソコンの電源をいれようか」 シメオン 「おーそういうことだよ、サタン! サタンはやっぱりやればできる 子だもんね!成長して行こう!」 サタン 「こ、こいつ、この状況で、 なんで上からなんだ…。 ま、まぁいい、 ここが電源ボタンだ、押してみろ」 シメオン「これ?」 サタン 「そうだ、それだ」 シメオン「押すよ、いい?」 サタン 「いいぞ」 シメオン「どの指でもいいの?」 サタン 「いい、押せ」 シメオン 「ほんとに押しちゃうよ、いい?」 サタン 「いいから早く押せっ!」 シメオン「爆発したりしない?」 サタン 「しない、押せっ!!」 シメオン 「ホントにホントにいくよ!」 サタン 「いけ!!」 シメオン 「ああードキドキするぅぅ」 サタン 「ドキドキしてないで押せ!!」 シメオン 「いくよ、いっちゃうよ!」 サタン 「いけーーーーー!」 シメオン「3・2・1・」 サタン 「大げさなんだよ」 シメオン「バンジー!」 サタン 「なんだバンジーって!」 シメオン「おおーー!!」 サタン 「おおーー!!じゃない」 シメオン 「アッハッハッハー、 あー楽しいね、パソコン! みんながハマっちゃうのも 分かるなぁ…」 サタン 「…まだ 電源をいれただけだぞ…じゃ、 次だ」 シメオン 「ちょっと待って、 もう一回電源入れてもいい?」 サタン 「は?」 シメオン 「ホラ、一人の時もできるように」 サタン 「しょうがない…。 じゃ、 今回は電源を切るのは俺がやろう」 サタン 「よし、 これでまた電源ボタンを押せば 起動するぞ」 シメオン 「ありがとう。じゃ、押すね」 サタン 「お前が一人の時は、俺はいない。 黙って押せ」 シメオン 「いくよ、ああー大丈夫かな」 サタン 「大丈夫だ、早く押せ」 シメオン 「よーし、壊れませんように、 壊れませんように」 サタン 「祈るな、さっさと押せ」 シメオン 「爆発したりしませんように…」 サタン 「だからしない、 いい加減にしろ!」 シメオン 「宇宙が無くなりませんように…」 サタン 「なんでそんなことになるん だっ!」 シメオン 「ああー、ドキドキしてきた…。 押すよ!」 サタン 「押せっ!俺はいないんだ!」 シメオン「行くよ!」 サタン 「いけーー!」 シメオン「本当にいっちゃうよ!」 サタン 「さっさといけーーー!!!」 シメオン「えい!」 シメオン「おおーー!!」 サタン 「おおーー!!じゃない! どんだけ時間をかけるんだ…」 シメオン 「ハッハッハ、あーおもしろい! おかげでパソコンの楽しさが 分かってきたよ」 サタン 「お前独自の楽しみ方だろ…はぁ、 じゃあさっさと次に行くぞ」 シメオン 「サタン、 今日はもうここまでにしよう」 サタン 「はぁ?まだ何もしてないぞ」 シメオン 「今日は疲れちゃったし、 しばらくは電源のオン・オフで パソコンを楽しむよ。 電源の切り方は、 ソロモンかルークに頼むから、 次のステップに進む 心構えができたら、また教えて」 サタン 「いや、別に構わんが…」 シメオン「じゃ、そういうことで」 サタン 「勝手にしろ、じゃあな」 シメオン 「あ、サタン、 君の教え方も初日とは 思えないくらい素晴らしかったよ! 俺も頑張るから、 サタンも一緒に成長して行こう!」 サタン 「シメオン…次回は 俺の怒りのスイッチを 押さないようにな…。 お前の宇宙がなくなるぞ」