差し伸べた手から伝う音を聴いて 雨の降り止まない 街で傘をそこらに捨てて 漕ぎ続けた銀輪は 大気を二つに裂いて 街に色とりどりの花を充満させる 羽ばたいてみたい 涼しげなあの空 雨上がりを報せる鳥達 美しさの連続 が明日の私を象る ガーベラの花が重なり 淡く染まった窓辺に 春のような音が響く 肌をつたった微熱と 冷えたコロンの残り香で 熟れた花の粒に満ちる 冷たい水を口に少し含んだ 淀んだ空気が浄化されている気分で 履き潰したローファーで 大地を二つに裂いて 花は色とりどりの雫を肌に纏わせる 漂っていたい 物憂げなあの空 雨上がりに街を揺らす木々達 忘れかけた感覚が私の身体を包んで ガーベラが部屋に溶け切り モノクロの日々が次第に 夜更けへと色づいていく 青白い月の明かりが 伸びかけた葉の先に差し 熟れた花の粒に満ちる 街はついに寝静まり 回るレコードは動きを止め、 息を吸い そっと深く目を瞑った ガーベラの花が視界に 黄色い夜雨を降らせて 私の心を洗う 雨の落ちる仕草さえ 鮮やかな色に満ち 夜を花の粒が駆ける