命の灯 それは唐突でこの目を疑った 2019年4月1日だった ニプシーが凶弾に倒れて命を 落としたニュースが世界中飛び 交った その日俺も SNSで彼の死を惜しむ内容をPost した だがその翌日の夕方に俺の脳が 圧に耐え切れずLostした 初めに呂律が回らなくなり その後右手足に反応がない 見る見るうちにバランスを崩し 仰向けで足掻いても起き上がれない 意識する己の死 こぼれ落ちる額の汗 魂のしずく 愛する家族よぎる脳裏 なんとか命を繋ぐべくcallin' テーブルのweed片さなきゃ でも身体の自由が効かねぇな 左手で必死に掻き集めて 広告をそっと被して隠して 多少の安堵を手に入れた 意識はずっとはっきりしていた 到着した 救急隊員の 問いにもわりかししっかりと 答えられていた 鳴り響くサイレン横たわる俺 虚しさしかないねどうなるのかね 一体どれ程の間走ったかも 分からない この先どうなるのか分からない 目の前の闇が俺を掴んで離さない 動きたくても上手く動けない 話したくても上手く話せない もう昨日までと 同じ様に生きられない 命の灯 消えかけたあの日 消す訳にはいかない まだ死ねない 命の灯 繋ぎ止めたあの日 消す訳にはいかない まだ生きていたい ICUに担ぎ込まれて 体に色々と繋がれてく 徐々に意識は薄れて そしてうなされそうな夢の中へ 目が覚めても朝か夜か分からない 空の見えない部屋の中で 俺を襲った悲劇の重さを知った 途方に暮れた 途方に暮れた ペースト状のメシ糞の世話 何から何まで施しを 受けなきゃいけない己に酷く 失望した またそれらをこなす 医療従事者に脱帽した 見舞ってくれる仲間の笑顔が俺を 勇気付けそして傷付けた クソなナースが俺の心を踏み付けた 自由の利かない身体で噛み付いた 所詮後ろ向きな俺は虫の息さ どうでもいいよ自暴自棄だ なぜ俺だけが!? この言葉に頭中侵された この先どう生きて どう家族食わして どう暮らせばいいのか分からねぇ なぜ俺は生き残った? 思った答えは神のみぞ知る事さ 不自由な手足が鉛みたいだ 40年付き合って来たのに嘘みたいだ いっそぶった斬れば楽になるのかと 錯覚するぐらいさ辛いな だけど妻と子供達 親や兄姉そして友達 先輩後輩 ファンや思ってくれる人達が居る 事を忘れずに生きよう 生かしてくれてありがとう 命の灯 消えかけたあの日 消す訳にはいかない まだ死ねない 命の灯 繋ぎ止めたあの日 消す訳にはいかない まだ生きていたい