「あなた とても悲しい噂が私の耳に入って 来るのです それは まるで氷のナイフのように 弱ってしまった 私の心を切り裂く のです 人人は 愛を信じることの愚かさを 私に教えます 待つということのむなしさを 私に教えます 透明な しかし うすくなった 空気の中で 季節の終わった 蝶のように 私は 生きているのです」 しあわせ過ぎた 月日のあとの 涙の海に おぼれる私 髪をとかして 爪をみがいて 好きなドレスを 鏡にうつす 「あなたに抱かれて海の音をきき 空いっぱいの鴎の群れをみた時 死んでもいいとさえ 感じたしあわせが やはり 忘れられないのです」 二度とは人を 愛さないでしょう 一度の愛で ぬけがらのよう 帰らぬ人と知っているのに なぜか さよならいえずにいるの 「突然の別れは こわくないのです 耐えて 行けるのです でもなぜか 段段遠く 段段薄くなって行く感じが つらいのです 多分 私が 女だからでしょう」