国境の長いトンネルを抜けると 雪国は 底冷えの夜の静けさを 白く帯びている 雪景の古い街並みを横目に雪国は 貴方との春の思い出が ただ蔓延っている 僕の躊躇いが月に被さって まるで海の底ね ぼうと座って水面に映った 僕らを見ている 食卓と長い小節を跨いで雪国は 花韮の花の静けさを ただ嗅ぎ取っている 貴方の涙風に舞い散って まるで春の中ね ぼうと座ってスープに映った 僕らを見ている 僕らの憂いが日々日々積もって まるで雪の国ね どうか躊躇って 貴方も想って 雪が溶けるまで 愛が解けるまで 国境の長いトンネルを抜けると 僕たちは 底冷えの夜の静けさを 白く帯びていた
